リアルタイム配車 AIオンデマンド交通「のるーと玄海」本格運用開始

2025年3月1日、福岡市東区のアイランドシティ地区で運行されるAIオンデマンド交通サービス「のるーと玄海」の本格運用が始まった。3日には、本格運用開始を記念した出発式が玄海町で行われた。本サービスは、スマートフォンアプリを通じてリアルタイムで乗降場所や時間を指定でき、AIが最も適した運行ルートを選定することで、効率的な移動を実現する。

地域交通を支える「のるーと玄海」の運行状況と特徴

「のるーと玄海」は、2019年4月に試験運行を開始し、利用者からの反響を受けて運行期間が延長されながら改善が進められてきたAIオンデマンド交通サービス（※）だ。
アイランドシティ地区は、都市開発が進む一方で公共交通の整備が不十分であったことから、住民の移動手段として「のるーと」の導入が決まった。

サービス開始当初は1年間の試験運行が行われ、その後も地域の交通ニーズに応える形で運行が継続されてきた。2020年2月には、利便性向上のために新たなミーティングポイント「御幸町」が設置され、香椎エリアや国道3号線を通る路線バスとの接続も強化された。これにより、より多くの地域間移動が可能となった。

また、同年の施策として、幼児の無料化やデジタル乗車券の導入が実施され、利用者数の増加に貢献した。アプリのダウンロード数は累計7,000を超え、地域住民や通勤者、訪問者からも高い評価を得ている。

本サービスは、玄海町の公式LINEアカウントや専用アプリから予約することで、町内の希望する場所まで乗車できる。玄海町民以外も利用可能で、料金は大人が200円、小中学生や高校生が100円などとなっている。

※AIオンデマンド交通サービス：利用者のリクエストに応じて、AIを活用し最適なルートを計算し配車する交通手段。利用者の利便性を高める新しい技術。

将来展望と地域社会への影響

「のるーと玄海」の運行は、福岡市東区の交通環境に新たな選択肢を提供し、住民の移動手段を多様化している。
AI技術を駆使したオンデマンド交通サービスは、従来の公共交通機関に比べ、より柔軟で効率的な移動を可能にするため、住民の生活スタイルにも影響を与えていると言える。特に、高齢者や子育て世代にとって、柔軟な移動手段の提供は大きな利便性をもたらしているだろう。

今後は、これまでに蓄積された運行データや利用者からのフィードバックをもとに、さらなるサービス向上が期待される。
また、他地域への展開計画も検討されており、福岡市全体や他の都市部での実現も視野に入っている。

地域交通の未来を切り開くこの取り組みは、今後の公共交通システムのモデルケースとなる可能性が高い。