3D家具配置アプリ「おくROOM」が累計30万DL突破 ベガコーポのデジタル戦略がヒット

2025年5月16日、日本の家具・インテリア業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)事例として注目されている3D家具配置アプリ「おくROOM」が、リリースから約5カ月で累計30万ダウンロードを突破したことが発表された。
開発企業は福岡を拠点とするベガコーポレーションで、同社の主力ブランド「LOWYA」との連携がユーザーの関心を集めている。
LOWYA商品を仮想配置、購入までシームレスに完結するUI/UXが評価され急成長
「おくROOM」は、ユーザーが自身の部屋サイズや予算を入力するだけで、LOWYAの3D家具モデルを用いて最適なインテリアコーディネートを提案してくれるアプリだ。
2024年11月のリリース以降、生活者の“部屋づくり”に対する悩みを手軽に解決できるツールとして評価が高まり、App Storeのライフスタイルカテゴリで1位、総合ランキングでも最高5位にまで上昇している。
アプリ内で気に入ったアイテムは、そのままLOWYAのECサイトで購入できる導線が確保されており、利便性が高い。
仮想空間で試して、現実の買い物に即座に繋がる体験が、購買意欲を刺激する仕組みになっている。
提供されている3Dモデルは1,100点を超えており、ユーザーの多様なニーズに応じて継続的に追加されている。
無料で利用可能なiPhoneアプリとして展開されており、導入コストの低さも支持を後押ししている。
SNSでは「#おくROOM」のハッシュタグ投稿が増加中で、「イメージ通りの部屋ができた」「家具選びで失敗しない」といった声が見られ、アプリ体験の共有が新たな口コミの輪を広げている状況だ。
クリエイター利用・キャンペーン施策も話題に
「おくROOM」は二次的な活用もされており、漫画やイラストの背景として使いたいという要望を受け、クレジット記載の条件付きで二次利用が認められるようになった。
この対応により、アプリは一般ユーザーだけでなく、クリエイター層からも関心を集めるようになり、用途の広がりが新たなユーザー層の開拓に寄与していると考えられる。
また、LOWYAは現在「おくROOM」活用を促進するInstagramキャンペーンを実施しており、投稿者には同社ポイントが進呈される仕組みになっている。
これにより、ユーザー参加型のマーケティングが実現され、エンゲージメントの向上とアプリの認知拡大が進んでいる。
ただ、3Dモデルの維持・更新、UI/UXの最適化、SNSキャンペーンの継続的運用には相応のリソースが必要であり、運営側の体制整備が課題となる局面も出てくるだろう。
ベガコーポレーションは現在、ECサイトのほか全国に9店舗の実店舗を構えており、オンラインとオフライン、さらにAR・3D技術を駆使した「おくROOM」という第三のチャネルを確立することで、顧客との接点を多層化しつつある。
家具・インテリア業界におけるDXの先進事例として、「おくROOM」の今後の展開から目が離せない。