ナスダック上場のJanover、リキッド・ステーキング・トークン技術採用　ソラナ財務の企業戦略

2025年5月28日、ナスダック上場企業のDeFi Development Corp.（旧Janover）は、ソラナ（SOL）の保有資産に対し、リキッド・ステーキング（※1）技術を導入すると発表した。
新戦略により、資産の流動性と収益性を両立し、同社の財務基盤強化を図る。

ソラナ資産を活用し財務基盤を拡充へ

DeFi Development Corp.は、リキッド・ステーキング・トークン（LST）技術を活用し、保有するソラナ（SOL）を新たな形で運用すると明かした。
これは、Sanctumと呼ばれるリキッド・ステーキングプロジェクトと連携し、同社独自のLST「dfdvSOL」にソラナの一部を投資するという内容だ。

dfdvSOLは、DeFi Developmentのバリデータ（※2）にソラナを預けることで発行されるトークンで、保有者はステーキング報酬を得つつ、そのトークンを他の金融プラットフォーム上で運用することが可能になる。

従来のステーキングは資産のロックアップが必要だったが、LST技術の導入により資産の流動性が確保され、より柔軟な財務運用が可能になると期待されている。

これによりバリデータ運営と財務戦略の両面を強化し、自社の成長指標である「SPS（1株当たりのSOL）」の最大化を目指す。

今回の戦略について、DeFi Developmentは単なる資産運用にとどまらず、ソラナエコシステム全体への関与を深める狙いがあると説明する。
Sanctumとの提携を通じて、同社はソラナ基盤での信頼性と認知度を高め、エコシステムとの統合を模索していく構えだ。

独自LSTで存在感強化　長期戦略と市場への影響

dfdvSOLはすでに2025年2月にローンチされており、現在、年利回り（APY）は5％を超えている。
トークン保有者数は19人、約4万4,500SOLがステーキングに利用されており、順調な立ち上がりを見せている。

同社のパーカー・ホワイト最高投資責任者は、「dfdvSOLの普及は、我々のバリデータへのステーキングを促進したり、ソラナの保有量を増加させたりする手段だけでなく、ソラナエコシステムの長期参加者としての当社の役割を強化する方法も構築してくれるだろう」と述べており、財務強化にとどまらない長期的な成長ビジョンを示した。

今後、DeFi DevelopmentがdfdvSOLを核にどれだけステーキング参加者を拡大できるかが鍵となる。年利5％超というAPYは現状魅力的であり、インセンティブ設計次第では、機関投資家を含むステーキングユーザーの獲得も見込まれる。
ただし、流動性の確保と価格の安定性を両立するためには、より多くのDeFiプラットフォームでの採用が不可欠となるだろう。

DeFi Developmentは今後、dfdvSOLおよびほかのLSTの導入や融合について、追加の詳細を発表する見通しだ。
企業の財務施策とブロックチェーンエコシステム拡張が重なり合う事例として注目が集まる可能性がある。

※1 リキッド・ステーキング：資産をステーキングしつつ、代替トークンにより流動性も確保できる仕組みのこと。

※2 バリデータ：ブロックチェーンにおいて、取引の検証やブロック生成などを行うノードのこと。