カリフォルニア州の電力需要が急増　データセンター建設ラッシュでPG&Eに供給依頼が殺到

2025年5月27日、米大手電力会社PG&Eは、カリフォルニア州北部におけるデータセンター企業からの電力供給依頼が、年初から40％超増加したと明かした。

PG&E、電力供給依頼が前年比40％以上増加

カリフォルニア州最大の電力供給会社であるPG&E（パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック）は、2025年に入り同州北部地域におけるデータセンター開発企業からの電力供給依頼が急増していると報告した。
これは、前年と比較して40％を超える増加幅である。

PG&Eは4月、電力系統への新規接続に関心を持つデータセンター企業を対象とした調査を実施。この調査では合計4.1ギガワット（GW）の追加需要が示された。
これはPG&Eが先月末の決算説明会で公表した既存の8.7GWの需要に上乗せされる数値であり、AI関連インフラへの需要拡大が顕著になっている。

同社によると、現在計画中のデータセンターは数だけでなく規模も急拡大している。従来は一般的に50～100メガワット（MW）規模だったが、現在では500～1000MWに達するケースも珍しくないという。

カリフォルニア州のシリコンバレーは依然として世界有数のデータセンター集積地であるものの、地価や電気料金の高さがAIインフラの成長を阻む要因とされてきた。
一方、PG&Eは州内に成長余地が残されていると見ているようだ。

AI需要が電力市場に変革　内陸部への拠点移転も進行

データセンターの急拡大の背景には、生成AIの普及による計算能力需要の高まりがある。
特に、ChatGPTのような大規模言語モデルをトレーニングするAI用データセンターでは、従来型とは桁違いの電力消費が求められる。

こうした高負荷型データセンターは、都市中心部にこだわる必要がないため、地価や土地取得の制約が少ない内陸部へと立地が移行している傾向にある。
現在新たに計画されている施設の多くは、これまでデータセンターとは無縁だったコントラコスタ郡やフレズノ郡といった内陸地域に集中している。

このトレンドは、州内の電力インフラ整備にも大きな影響を与える可能性がある。
特定地域への負荷集中を避ける必要がある一方で、広範囲にわたる高圧送電網の整備が急務となるだろう。今後は、再生可能エネルギーとの接続性や、環境規制との整合性も問われる局面を迎えると予想できる。一方で、AIインフラへの需要増は電力会社にとって新たな成長機会でもあるだろう。
この流れをポジティブに捉えれば、送電網の近代化や需要予測技術の導入により、持続可能な供給体制の構築が行われるということになる。
インフラ整備の動向には、今後も注視していきたい。