米Strive、2200億円調達でビットコイン獲得へ 独自アルファ創出戦略で市場に挑む

2025年5月27日、米資産運用会社Striveが最大15億ドル(約2200億円)の資金調達計画を発表した。ビットコイン(BTC)のアルファ創出戦略に注力し、他社との差別化を図る狙いだ。
Strive、破綻取引所債権を活用しビットコイン取得へ
米Striveは、Asset EntitiesからのPIPE投資(※)7億5000万ドルと、ワラント行使による同額の追加調達で最大15億ドルを確保する予定だ。
これらの資金は、単なる市場連動型(ベータ)ではなく、超過収益(アルファ)の獲得を目指すBTC戦略として投入される。
具体的には、キャッシュ不足のバイオテック企業を買収して割安な現金を獲得するほか、117 Partners LLCと組み、破綻した取引所Mt.Gox(マウントゴックス)の債権を割引価格で取得し、約7万5000BTC相当のビットコインを手に入れる方針が掲げられている。
Mt.Goxは2014年の破綻以来、約14万BTCの配当を控えており、2025年10月31日までの支払いが予定されている。長期化する返済を待てない債権者が即現金化を選択する可能性は高く、Striveはこの流動性需要を見込んで戦略を展開する計画だ。
同社は昨年11月に資産運用事業を開始し、ビベック・ラマスワミ元大統領候補が共同創業者を務めている。
同社は、標準ポートフォリオへのBTC組み入れは、債務リスクや地政学リスクへの有効なヘッジになることを強調している。
BTC投資の新潮流が市場に波及 リスク分散と成長機会の交錯
今回のStriveの動きは、単なるパッシブ投資ではなく、積極的な収益獲得を狙うBTC投資モデルの広がりを示しているといえる。特に、破綻債権を割安で取得し、リスクプレミアムを取り込む手法は、これまでにない差別化要素だ。
アルファ創出型戦略は、一般的な市場連動型のETFやファンドよりも高いリターンを目指せる反面、法的リスクや取引先の信用リスクといった不確実性を伴う。
Mt.Gox債権の取得には、債権回収手続きや分配スケジュールの遅延といった課題が残る可能性もあるだろう。
一方で、債務問題や地政学リスクに直面する機関投資家にとって、ビットコインは重要な分散投資の選択肢になりつつある。Striveの戦略は、このニーズに応える形で、BTCの資産クラスとしての地位をさらに引き上げる役割を果たすと考えられる。
今後、他の資産運用会社やファンドが類似の戦略に参入する動きが広がれば、BTC市場に新たな資金流入が生まれ、価格や流動性に波及効果が及ぶだろう。
競争激化の中で、Striveがどこまで先行者優位を維持できるのか、注目したい。
※PIPE(Private Investment in Public Equity):公開企業に対して行われる私募形式の株式投資。通常、既存株価にディスカウントを設けることで資金調達を迅速化する手法。