ピアラ、ベトナム・ダナンにAIクリエイティブセンター新設 アジア全域に日本品質展開へ

2025年5月16日、マーケティング支援を手がけるピアラ株式会社は、連結子会社のPG-Trading(Vietnam)においてベトナム・ダナン市に新事務所を設立し、タイ子会社と連携したAIクリエイティブセンターの構築を進めると発表した。アジア全域に向けて生成AI体制の強化を図る。
ベトナム・タイの2拠点で生成AI活用体制を構築
ピアラはベトナム・ダナン市に新たな拠点を構えることで、アジアにおける生成AIを活用したクリエイティブ制作体制の強化を本格化する。
今回新設された事務所は、ベトナムでEC支援を担う連結子会社PG-Tradingが運営。タイではすでに、制作業務を手がけるオフショア拠点PIATECが先行してAIクリエイティブのPDCA運用に実績をあげており、今後はこのノウハウをダナン拠点にも展開する。
両拠点は、広告バナー・動画・LP(ランディングページ)・3Dモデリングの大量制作を可能にする体制を築く予定で、高速かつ高品質なクリエイティブ提供を目指す。
ピアラは一気通貫の「フルファネル型マーケティング」に強みを持ち、広告効果を左右するクリエイティブ領域を生成AIと掛け合わせて再構築中だ。
中でも「企画×AI×制作」の融合による表現力と生産性の両立は、企業競争力の新たな鍵となると位置付ける。
PIATECでは社内ナレッジをAIで共有・活用する「ナレシェアAI」によって制作工数を約40%削減する成果を上げており、同様の体制をPG-Tradingにも導入することで、アジア全体での効率化を加速させる方針である。
また、ピエラでは、競合調査やターゲットインサイトの抽出、シナリオ分析といったマーケティング初期工程にもAIの導入を進めており、これにより1案件あたりの調査時間を約10時間削減した実績がある。
動画制作においても、素材生成や編集プロセスの一部をAI化したことで、全体の制作量を約30%向上。AIと人間の協働による生産性と表現の最大化を追求している。
日本品質×アジア拡張性の両立が成長ドライバーに
今回の体制強化により、アジア拠点でも日本水準の広告品質が再現可能となり、同社が強みとするフルファネル型マーケティングの国際展開が加速すると見られる。
また、アジアで育成された人材にグループのノウハウを注入し、PG-Tradingの収益構造も改善される見通しだ。
一方で、AI導入による制作工程の効率化は、副次的に人材の役割にも変化をもたらす。単純作業の自動化が進むことで、企画力やデータ分析といった高度スキルの重要性が増すため、人材育成と再配置がカギを握るだろう。
ピアラは今後、「コンサルティング×データ×AI」の融合によって広告ソリューションを高度化し、国内外での高速PDCA運用とナレシェアパートナーの拡大に注力するとしている。
生成AIとAIエージェントを活用した業務最適化が、同社の次なる成長を牽引する原動力となりそうだ。