サム・アルトマン関与のワールド、a16zとBainから1億3500万ドル調達 WLC売却で

2025年5月21日、暗号資産プロジェクト「ワールド」を支援するWorld Foundationの子会社であるWorld Assets(ワールドアセッツ)が、米VC大手a16z(アンドリーセンホロウィッツ)およびBain Capital Crypto(ベインキャピタルクリプト)から合計1億3,500万ドル(約210億円)調達したことを発表した。
ワールド、WLD売却で米国展開を本格化
今回の資金調達は、「ワールド」独自の仮想通貨トークン「ワールドコイン(WLD)」をa16zとベインキャピタルに売却する形式で行われた。両社は「ワールド」の初期支援者でもあり、今後の成長に対して継続的なコミットメントを示した形となる。
「ワールド」はOpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏が関与するプロジェクトとして注目されている。
ワールド財団によれば、得られた資金は主に「World ID」の国際展開および米国市場での拡充に充てられるという。
「World ID」は、虹彩認証を通じて実在する唯一の人間であることを証明できる自己主権型デジタルIDで、個人情報の公開なしに利用可能な点が特徴だ。現在、虹彩スキャンを行うためのデバイス「オーブ(Orb)」が世界各地に設置されている。
ワールドは5月1日、米国市場への展開開始を発表しており、アトランタやサンフランシスコなど米国6都市において「World ID」の取得が可能になった。
これにより米国ユーザーも「World App」経由でWLDの請求ができるようになり、「World ID」の実用性と普及が一層加速している。
ID普及とリアル利用の鍵握る「WLD」経済圏構築
今回の資金調達によって、ワールドは個人認証と金融機能の統合を推し進める構えとみられる。
特に注目されるのが、ワールドカードの発行計画である。Visaブランドの同カードは、ユーザーのWorld Appウォレットに直結し、保有するWLDをリアル店舗で直接利用可能にするという。
この取り組みが本格化すれば、WLDの実需は飛躍的に高まり、トークン価値の安定化にも寄与すると考えられる。
また、「World ID」の普及は、デジタル社会におけるプライバシーと本人性の両立を可能にするインフラとして、Web3領域を超えて注目を集めている。
一方で、虹彩スキャンという認証手段に対するプライバシー懸念は根強い。特に米国市場では、生体情報の扱いに関する規制が州ごとに異なるため、展開地域によっては普及にブレーキがかかる可能性もある。
WLDの価格は発表直後に約14%上昇したが、今後の価格推移は実需の広がりと規制環境に大きく依存する。特にワールドカードの利用状況や、米国外への展開スピードが中長期の評価軸となりそうだ。