Robloxがゲーム内ショッピングを本格始動 Shopify連携で現実商品を販売、Fentyが先陣

2025年5月15日、米Roblox社が「Commerce API」と「認定マーチャンダイザープログラム(AMP)」を正式発表した。これにより、ゲーム内で現実の商品を直接販売し、連動したバーチャルアイテムも提供できる新機能が実装された。
ゲーム内から現実の商品が購入可能に
Robloxは、自社の仮想空間を次なるショッピングモールへと進化させる一歩を踏み出した。5月15日に正式発表された「Commerce API」は、選定されたクリエイターやブランドが、Roblox内の体験空間を通じて物理的な商品を販売できる仕組みである。
加えて、「Approved Merchandiser Program(認定マーチャンダイザープログラム、AMP)」も導入された。このプログラムで商品を購入すると、ゲーム内で使えるアバター向けの限定バーチャルアイテムが付与される。
これにより、デジタルとフィジカルが融合した新たなコマース体験が生まれた。
この取り組みは、2024年に実施されたパイロットプログラムを基盤にしており、初の連携パートナーにはShopifyが起用された。Shopifyで既に商品を販売しているブランドは、自社のオンラインストアをRobloxと連携させることで、外部決済ページを経由せずにRoblox内での販売が可能になる。
たとえば、リアーナの「Fenty Beauty」は、Roblox限定グロス「Gloss Bomb」を販売開始。また、The Weekndも新作映画のチケットとデジタルアイテムをセットで販売し、エンターテインメントとコマースの融合が加速している。
フードや旅行にも拡大へ 仮想空間が次世代流通の主戦場に
Commerce APIとAMPの導入は、Robloxが単なるゲームプラットフォームから、インタラクティブな商業空間へと変貌する起点となるだろう。
実際に、クローズドベータでは、開発スタジオのTwin Atlasが数週間で6桁の売上を記録している。
約90%がRoblox内インターフェースを通じた購入であり、さらに半数がリピーターであったという。この成果は、ユーザーが仮想空間内で商品を「発見・購入・報酬獲得」まで一貫して体験する構造の有効性を示している。
今後、Robloxはファッションや音楽にとどまらず、フードデリバリーや旅行分野にも展開を予定している。
グローバルブランドパートナーシップ担当VPのステファニー・レイサム氏は、「フライト前の疑似体験や、ゲーム内からの食事注文も現実的だ」と語り、仮想と現実の境界を曖昧にする次世代流通モデルの可能性を示唆した。
もっとも、プラットフォームの商業化には一定の課題も伴う。ユーザー体験の商業化が過度になれば、エンタメ性が損なわれるリスクもある。
とはいえ、仮想空間での消費行動が当たり前になる未来において、Robloxの先行事例は他社の模範にもなり得るだろう。