観光庁、観光地の生成AI活用に向けた手引書を公開 導入事例とリスク管理を解説

2025年5月20日、観光庁は、観光地域づくり法人(DMO)や観光事業者に向け、生成AIの活用事例と留意点をまとめた2つの手引書を作成したと発表した。
旅行者案内や業務効率化など、多様な活用法とともにリスク回避のポイントも解説している。
生成AIの観光分野での活用事例を体系化し公開
観光庁が公開したのは、「生成AIの適切な活用に向けて」と「生成AIの効果的な活用に向けて」の2種類の手引書だ。
前者では、全国6地域で実施された調査事業の結果をもとに、旅行者向け案内、観光地の情報発信、観光事業者の業務支援など、生成AIの具体的な活用事例を紹介している。
また、生成AI利用にあたっての注意点として、個人情報保護や著作権への配慮、ハルシネーションの防止、出力結果のバイアスなどについても詳述。生成AIを補助ツールとして使用し、人間の確認・判断を必須とする姿勢を明示した。
後者の手引書では、AI導入による業務改善効果の評価や、今後の取組方針に関する分析結果も収録されており、自治体や民間事業者が生成AIの導入を検討する際の参考資料となっている。
生成AIの普及に期待と警戒 観光地の差別化手段としても注目
今回の手引書公開により、観光分野での生成AIの導入が一段と進むことが期待される。
AIによる多言語対応やチャット型案内は、人的資源の不足が課題となる地域にとって有効なソリューションとなる可能性がある。
とくに地方では、観光資源の魅力をより広く発信するためのツールとして、生成AIの活用が注目されている。
自動翻訳による情報発信、地域文化にもとづいたストーリー生成など、地域固有の価値を引き出す手段としても期待が高まる。
一方で、誤情報の拡散や過剰なAI依存への懸念もある。
観光客との信頼関係や地域のブランドイメージを損なわないよう、導入には慎重な設計と運用が求められる。
観光庁は、引き続きモデル事例の収集と情報発信を進め、生成AIの安全かつ効果的な観光活用を支援していくとみられる。
観光地・観光産業の生成AIの適切な活用に向けて(PDFファイル):
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001888805.pdf
観光地・観光産業の生成AIの効果的な活用に向けて(PDFファイル):