リップル、UAEで金融2社と提携 中東市場で国際決済の拡大狙う

2025年5月19日、米リップル社はアラブ首長国連邦(UAE)のZand BankおよびMamoと提携したと発表した。
国際送金ソリューション「リップルペイメント(※)」を軸に、中東地域での事業拡大を進める構えだ。現地当局からの認可を背景に、金融インフラの一翼を担う狙いがあるとみられる。
Zand BankとMamoが採用 リップルペイメントが中東へ展開
今回の提携により、リップルはUAE市場におけるプレゼンスをさらに高める方針を示した。
Zand BankはAIを活用した完全デジタル型の銀行であり、最新技術を組み合わせたグローバルな資金移動の円滑化を目指している。同行はリップルの技術を活用し、既存の国際決済システムを代替・補完する形でサービスを強化する見通しである。
一方、Mamoはクレジットカードや決済機能を提供するフィンテック企業であり、個人や中小事業者に向けた効率的な送金インフラの整備に力を入れている。
リップルペイメントの導入により、同社のサービスがグローバルに展開しやすくなると見られている。
リップルはすでにドバイ国際金融センター(DIFC)において規制当局の認可を取得しており、法的な信頼性を土台とした地域展開を進行中とみられる。
リップルペイメントは、迅速・安価な国際送金を実現する独自技術を持ち、世界の外国為替市場の90%以上をカバーする広範な対応力を誇っている。
中東市場で広がるブロックチェーン活用の可能性
中東諸国、とりわけUAEでは、政府主導のデジタル経済推進政策により、次世代型金融ソリューションの需要が高まりつつある。ブロックチェーンベースの決済は、既存の国際金融ネットワークでは対応しづらいニーズに応える手段として注目されていると考えられる。
今回の提携は、リップルの技術が現地のフィンテック企業やデジタル銀行と接続し、相互運用性の高い経済基盤を形成していく第一歩となる可能性がある。
Zand BankのChirag Sampat氏は「デジタル経済を支えるために不可欠なインフラとして、リップルとの協業は非常に重要である」との意を述べた。また、MamoのImad Gharazeddine CEOも「信頼性の高い国際送金基盤が、急成長中のUAE市場において大きな価値をもたらす」との見解を語った。
両者のコメントは、リップルの存在感が域内で着実に高まっていることを裏付けていると考えられる。
一方で、Zand BankやMamoといった先進的な企業との提携は話題性こそあるが、実際の利用者数や取引量の拡大がどこまで見込めるかは未知数だ。
リップルペイメントがデジタル経済の中核インフラとしての地位を確立できるか、今後の動向には注目が集まるだろう。
※リップルペイメント:ブロックチェーン技術を活用し、従来の国際送金ネットワークと比べて高速かつ低コストで資金移動を実現する決済ソリューション。XRPと呼ばれるデジタル資産を介することも可能。