「わんだふるぷりきゅあ!」にAI活用なし 東映アニメが誤解招く決算資料を訂正

2025年5月19日、東映アニメーションは決算説明資料の一部内容を訂正した。アニメ「わんだふるぷりきゅあ!」にAI技術を使用しているように読める表現が含まれていたが、実際には同作品を含む全作品でAIの活用実績はないと説明し、誤解を招いたことを認めた。
AI活用と誤解された記述 実際には未導入と訂正
東映アニメーションは、2025年3月期通期(2024年4月1日~25年3月31日)の決算説明資料において、アニメ制作におけるAI活用の例として「わんだふるぷりきゅあ!」の画像を掲載していた。
しかし5月19日、同社はこの資料が誤解を招く表現だったとして訂正を発表した。
訂正前の資料には、出資先であるPreferred Networks(PFN)との提携によるAI技術の活用例として、色指定や色塗りミスの自動修正、中割りの自動生成などが挙げられ、該当項目に「わんだふるぷりきゅあ!」の画像が配置されていた。
これにより、同作品でAIがすでに使用されているとの印象を与えかねない構成になっていた。
同社は訂正の中で、「掲載内容はあくまで今後の技術応用の例示であり、現時点ではプリキュアシリーズを含む当社全作品においてAI技術の導入実績はない」と明言した。
今後は資料表現にも一層の注意を払うとしている。
アニメ業界に広がるAI期待 誤認防止へ表現の精度が課題に
今回の訂正は、アニメ業界におけるAI活用の期待の高まりと、その報道・表現における慎重さの必要性を浮き彫りにした。
制作コストや人材不足に直面する中で、色彩処理や中割りなど反復的な作業をAIが代替する可能性には業界全体が注目している。
実際、東映アニメーションはPFNとの技術連携を通じて、将来的なAIの活用に向けた準備を進めていると見られており、AIがもたらす制作の効率化や品質安定化への期待は大きい。
一方で、こうした期待が先行しすぎた結果、誤解を招く表現が企業資料に含まれるリスクもある。
とりわけIP(知的財産)としての信頼性が重視されるアニメブランドにおいては、視聴者やクリエイターとの信頼関係を損なわないためにも、技術導入の「現実」と「展望」を明確に分けて伝える姿勢が不可欠だ。
また、AI導入が進展すればするほど、視聴者やファンが作品の制作過程に対して求める「手作業の温かみ」や「作家性」といった要素との折り合いも重要になってくる。
こうした価値観とのバランスを取りながら、透明性ある情報発信が企業側に強く求められていくだろう。関連記事:
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