生成AI、自治体の3割が導入 議事録作成などで業務効率化進む

2024年12月時点で、日本の市区町村の約3割が生成AIを活用していることが2025年5月15日、総務省の調査で判明した。
職員減少のなか、議事録作成などの業務で導入が進み、今後も拡大が見込まれる。
一方で、ルール整備の遅れが課題となっている。
生成AI活用が急増 導入率は前年比約20ポイント増
総務省が2024年12月に実施した調査によると、全国の市区町村(政令指定都市を除く1721団体)のうち、28.8%が生成AIを業務に導入済みと回答した。これは前年調査の9.4%から19.4ポイントの大幅な増加となった。
「実証実験中」と答えた自治体は12.3%、「導入検討中(導入予定あり)」は9.7%で、これらを含めると自治体全体の過半数(50.8%)が生成AIの導入または準備段階にあることが明らかになった。
一方、「導入予定もなく、検討もしていない」とした自治体は21.5%にとどまり、導入の動きは急速に広がっている。
都道府県では83.0%、政令指定都市では85.0%がすでに導入済みと回答しており、地方自治体間での導入格差も浮き彫りになった。
活用されている業務内容としては、「あいさつ文案の作成」(850件)が最多で、「議事録の要約」(737件)、「企画書案の作成」(622件)、「議会の想定問答作成」(584件)と続いた。
人員不足の解消に期待 ルール整備の遅れが課題に
生成AIの導入が進む背景には、少子高齢化や都市部への人口集中に伴う職員の人手不足がある。
限られた人員で多様な行政サービスを維持するため、AI活用による業務効率化が喫緊の課題となっている。
議事録作成や企画書の下書きといった定型業務は、生成AIにとって親和性が高く、職員の負担軽減に寄与すると期待されている。自治体にとっては、人件費を抑えながらも業務品質を維持・向上させる手段として注目されている。
ただし、技術の急速な導入に対して、ガイドラインや情報セキュリティの整備は依然として発展途上にある。
総務省は、今後、自治体向けのAI活用ルールやリスク管理のガイドライン策定を進める方針を示している。
AIの利活用が自治体運営の効率化を牽引する一方で、住民の信頼確保や情報漏洩の防止といったリスク対応も、同時に求められる局面に差し掛かっているといえる。