韓国大統領選、李在明氏がAI強国化を掲げ公約発表　世界3位を目指す成長戦略が明らかに

2025年5月12日、韓国の革新系最大野党「共に民主党」の選挙対策委員会は、6月3日に予定される大統領選に向けて李在明（イ・ジェミョン）前代表の「10大公約」を中央選挙管理委員会に提出したと発表した。
AI分野で「世界3位」を目指す方針が注目を集めている。

AI分野で世界3位を目指す国家戦略　李氏の成長ビジョンが示す産業変革の方向性

「共に民主党」の公約では、AI技術を軸とした国家成長戦略が明確に打ち出された。
公約の中核として掲げられたのが、AI分野での「世界3位」達成という具体的な数値目標である。この目標に向けて、政府予算におけるAI関連支出の割合を先進国基準以上に引き上げる方針が示された。
これは単なる研究開発費の増額にとどまらず、国家全体の産業構造転換に向けた本格的な投資拡大を意味する。

また、商法改正による企業統治の透明化や株主保護の強化にも言及されており、資本市場の信頼性向上と並行して、スタートアップやテクノロジー企業が成長しやすい環境整備が進められる見通しだ。
こうした改革は、AI産業を中核に据えた新興経済構造への移行を目指す李氏のビジョンを支える土台になると考えられる。

さらに注目すべきは、司法や報道制度改革にも踏み込み、民主主義体制の強化を通じて社会的信頼の再構築を図る点である。
産業育成と民主統治の両立は、外資誘致や国際的な技術連携の促進にも寄与しうる。

つまり、今回の公約は、テクノロジー重視だけにとどまらず、国家基盤の刷新という多面的アプローチを取ることで、成長の持続可能性を担保しようとしていると言える。

AI投資がもたらす機会と今後の展望

李在明氏の公約に見られるAI投資強化は、Web3や分散型経済が台頭する現代において、国家主導で競争優位性を確保する狙いがあると読み取れる。
韓国は既にモバイル通信、半導体、コンテンツ産業で強みを持っており、AIを新たな「国家成長エンジン」として位置づけることで、デジタル領域のハブ国家を目指す姿勢を鮮明にした格好だ。

ただし、世界3位という野心的な目標には課題も少なくない。米国や中国が圧倒的リードを保つ中で、技術力だけでなく、倫理・ガバナンス・国際協調といった分野においても高度な対応が求められる。
また、AI導入による労働市場の変化に対しても、政府主導の社会的合意形成と制度整備が急務となるだろう。

一方で、李氏の公約には労働時間の短縮や医療体制の見直し、環境政策までが一体となって盛り込まれており、AIを起点に社会全体の構造変革を目指すというメタ戦略が垣間見える。
こうした包括的な構想は、Web3的な価値観、すなわち中央集権から脱却した新しい経済モデルへの移行を模索する動きと呼応しているとも言える。

今後、実行力とスピードが問われる中で、韓国がどこまでAI先進国としての地位を築けるか、注視していく必要がある。