ストラテジー社、ビットコイン戦略強化で最大3兆円調達へ 株価は年初来高値に接近

2025年5月2日、ストラテジー社(旧マイクロストラテジー)が、ビットコイン投資戦略をさらに強化するため、最大210億ドル(約3兆円)の資金をクラスA株式で調達する計画を明らかにした。株価は年初来高値に接近しており、市場の関心が高まっている。
年初来高値に迫る株価と巨額調達計画
ストラテジー社は今回、最大210億ドル相当のクラスA株式を発行する計画を発表。調達資金は主にビットコイン(※1)戦略の強化に充てられる予定であり、発行はATM(※2)方式によって段階的に行われるという。
背景には、同社株価の上昇基調があるとみられる。年初来で27%上昇し、直近では381.6ドルを記録。年初来高値396.5ドルに迫っている。
同社は2025年第1四半期において42億ドルの純損失を計上したものの、この赤字は購入したビットコインに伴う評価損(80,715 BTCに関する59.1億ドルの含み損)が大半を占めていると考えられる。
営業費用は前年同期比で1,100%増の60億ドルに達しており、ビットコイン保有が財務に与える影響の大きさが浮き彫りとなった。
現時点で同社が保有するビットコインは553,555 BTCに上り、その時価総額は約534億ドルとされている。
戦略拡張の行方 今後の評価とリスク
ストラテジー社は単なる保有だけでなく、運用益の拡大にも力を入れているとみられる。年初来のBTCイールドは13.7%に達し、保有量の増加によって得られたBTCゲインは61,497 BTC、金額にして58億ドルに上る。2025年通期のドルベースでのゲイン目標は、従来の100億ドルから最大150億ドルへと上方修正された。
また、ビットコインアナリストのティモシー・ピーターソン氏は、4月20日に「ストラテジー社の株価が2030年までに年間平均60%のペースで上昇を見込み、4,000ドルに達する」との予測を示している。
一方で、こうした積極戦略にはリスクも内包されるだろう。ビットコイン市場の変動性は依然として高く、実際に第1四半期の巨額赤字は評価損に起因しており、ボラティリティの高い暗号資産を大量に保有することで、財務が著しく振れる傾向が見られる。
さらに、株式を大量発行することで既存株主の希薄化が避けられず、短期的な株価下落リスクをともなう可能性があるだろう。
この戦略が「成功例」になるか「警鐘」として記録されるかは、今後数年の市場の動向に大きく左右されるだろう。
市場では同社の動きが他の企業の仮想通貨戦略にも影響を与える可能性があり、その成否が注視される。
※1 ビットコイン:(BTC):分散型の暗号資産で、中央機関を介さずに取引される。2009年に登場し、ブロックチェーンで管理されている。
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※2 ATM(At the market offering): 証券取引所を通じて市場価格で株式を継続的に売却し、資金調達を行う方法。発行のタイミングや数量を柔軟に調整できる利点がある。