電通総研とモンスターラボ、AIで実現するレガシー刷新ソリューション発表

2025年4月30日、電通総研と株式会社モンスターラボジャパンは共同で、オープンソースのローコード開発基盤と生成AIを組み合わせたレガシーシステム刷新支援サービス「AIモダナイゼーションサービス for iPLAss(アイプラス)」の提供開始を発表した。
生成AIとローコードがレガシー刷新の鍵に ブラックボックス化の解消と開発効率化を実現
今回発表された「AIモダナイゼーションサービス for iPLAss」は、企業が長年運用してきたレガシーシステムを可視化し、最新のビジネス要件に対応できる形に再構築するための支援サービスである。
特徴的なのは、モンスターラボが開発した生成AI「CodeRebuild AI」を用いて、従来は手作業で行われていたソースコードの分析や仕様書の作成を自動化する点にある。
これにより、従来よりも短期間かつ低コストでモダナイゼーションの提案が可能となる。
あわせて活用されるのが、オープンソースのローコード開発基盤(※)「iPLAss」だ。
この基盤は、特定の事業者やプラットフォームに依存せずにシステムを構築できる点が評価されており、柔軟性と透明性の高さが特徴だ。
AIによる仕様の再構築とローコードによる迅速な実装を組み合わせることで、運用保守までを含む一貫した再構築フローが整えられる構成となっている。
電通総研は、これらの技術を通じて企業における「見えないシステム」の可視化を推進し、属人化や技術的負債といった課題に対応していくとしている。
複雑化し老朽化が進む基幹業務システムを、将来的な変化にも耐えうる柔軟な基盤へと置き換える支援を目指す。
※ローコード開発基盤:プログラミングの専門知識が少なくてもアプリケーションの開発が可能な技術基盤。視覚的なUI操作を中心に開発が進められる点が特徴。
システム刷新の壁を突破する戦略的連携 企業ニーズに即したテンプレート拡充も視野に
電通総研は今後、業種や業務領域ごとに最適化されたローコード開発テンプレートの整備を進める見通しを示している。これにより、導入企業のビジネス要件に合致したモダナイゼーションがより迅速に実現可能となるだろう。
特に、AIが生み出す仕様書とローコード開発の相性の良さは、社内にIT専門人材が不足している企業にとって強力な支援手段となり得るはずだ。
一方で、生成AIによる自動分析の正確性や、ローコード開発によるカスタマイズの限界など、導入にあたっての技術的な課題も残る。
AIが提案する仕様が実業務に即しているかどうかを判断する目利き力や、最終的な開発段階での人手による補完も求められるだろう。
加えて、レガシー刷新は企業全体の業務プロセスや文化にも関わる問題であり、単なる技術移行以上の変革が求められることも想定される。
とはいえ、透明性・拡張性・スピードの3要素を兼ね備えた今回のサービスは、多くの企業にとって現実的な選択肢となり得る。
今後、他社が同様のサービスを展開する動きも見込まれるため、ローコード×生成AI領域は新たな競争フェーズに突入する可能性がある。