BoxとIBM、AI活用で企業の非構造化データを資産化 グローバル協業を強化

2025年4月29日、米Boxと米IBMは、AIによる企業支援を加速させるため、Box AIとIBM watsonxを連携させた協業を強化すると発表した。
両社は、企業が保有する非構造化データの価値を最大化し、信頼性の高いAIワークフロー構築を支援していく。
BoxとIBM、AIによるコンテンツ主導型ワークフローの実現へ本格始動
協議の強化による最大の焦点は、契約書や社内文書、プレゼン資料といった非構造化データの扱いだ。
企業内に眠るこれらのデータは、AIによる分析対象として極めて有用である一方、機密性が高く、扱いには慎重さが求められる。
新たな協業では、Box AIとIBMのAIプラットフォーム「watsonx」による高度なモデル活用を融合させることで、文書からの情報抽出、業務フローの自動化、迅速な意思決定支援が可能となる。
さらに、IBM watsonx.aiでは、自社開発のGraniteモデルに加えてMetaのLlamaモデルもサポートされている。
これにより、企業ごとのニーズに柔軟に対応できる体制が整えられる。
AI活用が進むなかで、企業の間では倫理性やコンプライアンスへの懸念も高まっている。
これに対し、BoxはIBM watsonx.governanceを自社に導入し、「開発から本番稼働まで、モデルのライフサイクル全体にわたり、責任あるAIの導入に対応が可能になった」と説明している。
これは、BoxがAIのライフサイクル全体を管理可能とし、監査対応まで一貫して支援する枠組みが設計されている。
また、クラウド基盤としてはRed Hat OpenShiftを活用し、クラウド環境全体で柔軟かつ安全なAIアプリケーション展開が実現される。
非構造化データの資産化を加速 Box×IBMが示す“信頼性あるAI活用”のモデルケース
BoxとIBMによる協業強化の最大のメリットは、非構造化データを資産化するための実装力と柔軟性の高さにある。
企業にとって膨大な契約書やプレゼン資料などは、これまで属人的な管理に依存し、活用が進まない領域であった。
しかし今回の取り組みにより、Boxのコンテンツ管理機能とIBM watsonxの多様なAIモデルが統合されることで、情報抽出の自動化や迅速な意思決定支援といった具体的な業務改善が期待できる。
今後、BoxとIBMの協業は、AIガバナンスを重視した「信頼性あるAI活用」のモデルケースとして他企業への展開を促すと見られる。
ドキュメントベースの業務が中心となる産業においては、非構造化データの活用余地が大きく、AIによる分析支援は業務改革の起点になり得る。
ただし、その展開には業界ごとの規制対応や、より高度なセキュリティ対策の整備が前提となるだろう。
今回の協業が先行事例として機能することで、企業全体のAI導入成熟度を底上げする契機となることが期待される。
IBM watsonx.ai