パーソルイノベーションら4社、「AIによる採用面接・人事評価サービス協議会」設立 信頼性向上と社会的理解を促進へ

2025年4月28日、パーソルイノベーションは、ギブリー、PeopleX、ROXXの3社と共に、「AIによる採用面接・人事評価サービス協議会(AIAC=アイアック)」を設立すると発表した。
AIを活用した人事業務の透明性と信頼性を高めることを目的とし、ガイドラインの整備や行政との連携を図る取り組みが日本国内で本格化している。
AIを活用した採用・評価の透明性と信頼性を巡る新たな枠組み
AIの進化により、企業の採用や人事評価における業務効率化が加速する一方で、透明性の確保や倫理的課題への懸念も根強く残る。
そのような背景の中、2025年4月28日にパーソルイノベーションを含む4社が共同で設立した「AIによる採用面接・人事評価サービス協議会(AIAC)」は、AIを活用した人材評価の健全な普及を推進するための枠組みである。
参加企業は、それぞれがAI領域で独自の専門性を有している。
パーソルイノベーションは人材サービス分野におけるデジタル変革を主導し、ギブリーは生成AIの法人向け活用に強みを持つ。PeopleXはAIエージェントによる人事業務の最適化を進めており、ROXXは転職市場におけるデータ活用を深化させてきた。
こうした異なる専門性を持つ企業が連携することで、より実践的かつ包括的なAI活用の枠組みが形成される見通しだ。
AIACでは、ガイドライン策定に加え、行政機関との意見交換や、ユーザー・市民社会との対話を進めることで、AI評価の社会的受容性の向上を図る。
これにより、評価プロセスの透明性を担保し、技術導入の加速とともに信頼の獲得を目指す姿勢が見て取れる。
AIACの設立がもたらす人材評価分野への影響と今後の展望
AIによる人材評価や面接の導入は、スキルや適性の客観的な把握に貢献する一方、判断根拠の不透明さやバイアスの懸念も存在する。
AIACが取り組むガイドラインの整備や法制度への提言は、こうした課題に対する実効的な対策となる可能性がある。
特に、AIが行う判断プロセスの可視化や、結果の説明責任に関する指針は、企業のリスク回避と候補者の納得感の両立に資するものと考えられる。
また、AIの活用範囲が広がる中で、採用や評価といった「人を見る」工程におけるAIの在り方は、今後さらに議論を呼ぶだろう。
その中でAIACが掲げる「社会的理解の醸成」という目的は、単なる技術の普及を超えて、AIと人間の役割分担や倫理基準の明確化といった、より深いテーマに取り組む必要があることを示唆している。
今後、AIACの活動が実を結べば、人材分野におけるAI利用の標準化と法整備が進展し、業界全体の信頼向上に寄与すると期待される。
参加企業各社も、これを機にAIを活用した新たな価値創出やビジネスモデルの構築を模索する動きを強めていくだろう。