Alibaba、「Qwen3」シリーズを発表 4BモデルでGPT-4oに匹敵、235BモデルはGemini 2.5 Proと同等レベルの性能を示す

2025年4月29日、中国のテクノロジー大手Alibabaが最新の大規模言語モデル(LLM)「Qwen3」シリーズを発表した。
特に、最小構成のQwen3-4BモデルがGPT-4oに匹敵する性能を示したことが話題を呼んでいる。
Qwen3シリーズの革新性とその性能
Alibabaが発表したQwen3シリーズは、MoEモデル(複数の専門家モデルの中から入力に最適なものを選んで処理を行う手法)とDenseモデル(すべてのパラメータを常に使用する標準的な構造)の2種類を含む計8つのモデルで構成されている。
MoEモデルのフラッグシップであるQwen3-235B-A22Bは、2350億の総パラメータ数を持ちながら、推論時には220億のアクティブパラメータのみを使用する設計となっており、計算効率と性能のバランスを実現している。
このモデルは、コード生成や数学的推論、一般的なタスクにおいて、Gemini 2.5 ProやOpenAIのo1モデルと同等の性能を達成したとされている。
一方、Qwen3-30B-A3Bは、総パラメータ数300億のうち、推論時に3億のアクティブパラメータを使用する小型モデルでありながら、GPT-4oを上回る性能を発揮している。
また、Denseモデルの中で最小構成のQwen3-4Bも、前世代のQwen2.5-72B-Instructモデルに匹敵する性能を持ち、軽量ながら高い推論能力を備えている。
Qwen3シリーズは、タスクの複雑さに応じて「思考モード」と「非思考モード」を切り替えるハイブリッド推論機能を搭載しており、ユーザーはプロンプト内でこれらのモードを制御することができる。
さらに、119の言語と方言をサポートし、日本語にも対応している。
また、Qwen3シリーズのモデルは、Hugging FaceやKaggleなどのプラットフォームで公開されているため、容易にアクセスが可能だ。
今後の展望
Alibabaが発表したQwen3シリーズは、AIモデルの性能と柔軟性を新たな水準へと引き上げた。
Qwen3シリーズの登場により、AIモデルの性能競争は今後さらに激化し、他の大手企業も新たなモデルの開発を加速させることが予想される。
Qwen3シリーズの多言語対応や高い推論能力は、グローバルなビジネス展開を目指す企業にとっても大きな利点となるだろう。
また、Qwen3シリーズのオープンな提供形態は、AI技術の民主化を促進し、企業や個人が独自のアプリケーションを開発する際の障壁を低減すると考えられる。
さらに、Qwen3シリーズのハイブリッド推論機能や多様なモデル構成は、さまざまなニーズに対応可能であり、今後のAI技術の発展において一定の役割を果たすと考えられる。
このような背景を踏まえると、Qwen3シリーズは今後のAI業界において、一定の影響力を持つ存在となるだろう。