iPhone版「Perplexity」に音声アシスタント機能が登場

2025年4月24日、米国発のAI検索サービス「Perplexity」がiPhoneアプリに音声アシスタント機能を追加したと発表した。
この新機能は、AppleのAI開発が停滞する中での発表であり、Siriの進化を待つユーザーにとって注目すべき代替手段になり得る。

Perplexityの音声アシスタントが示すAI競争の現実

「Perplexity」（※）は2025年4月24日、iPhone版アプリに音声アシスタント機能を追加したと発表した。ユーザーはこの新機能を使い、音声で質問を投げかけたり、メールの下書きを作成したり、音楽や番組の再生、アラートの設定など、日常的な操作をハンズフリーで行うことができる。
Perplexityの公式X（旧Twitter）では、この機能の具体的な利用シーンを紹介しており、自然言語でのやり取りがもたらす直感的な操作性に自信を示している。

Introducing Perplexity iOS Voice Assistant

Voice Assistant uses web browsing and multi-app actions to book reservations, send emails and calendar invites, play media, and more—all from the Perplexity iOS app.

Update your app in the App Store and start asking today. pic.twitter.com/OKdlTaG9CO

— Perplexity (@perplexity_ai) April 23, 2025

この動きの背景には、Appleが2024年に発表した独自AI「Apple Intelligence」のリリース遅延がある。当初より「より賢いSiri」として大きな期待を集めていたが、現在も具体的な機能強化や提供開始時期は不透明なままで、ユーザーの不満が高まっている。
こうした隙間を突く形で、Perplexityが先んじてiOSに高度な音声インターフェースを導入した構図だ。

アプリ上に音声アシスタントが表示されない場合は、App Storeからのアップデートによって対応可能であるようだ。
また、音声入力や質問履歴などのユーザーデータは、AIの学習目的で収集されるが、設定からオプトアウトが可能であり、プライバシーへの配慮も明記されている。

※Perplexity（パープレキシティ）：検索エンジンと生成AIを組み合わせた質問応答型のAIアプリ。Google検索とは異なり、自然言語での問いに対して要約された回答を提示する特徴がある。

Apple不在の間に加速するAI音声アシスタントの進化と展望

AppleのAI開発が足踏みする中、生成AI領域ではOpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Gemini」が着実に機能を拡充し、音声対話のインターフェースも高度化している。
特に2025年に入ってからは、スマートフォン上での操作性に重点を置いたアプリが相次いで登場し、音声アシスタントの“再定義”とも言える進化が加速している。

その中でPerplexityのiPhoneアプリが示したのは、単なるAIチャットではなく、スマホOSと連携し日常タスクを肩代わりする「実用的なAI」への移行だろう。
このアプローチは、Apple自身が志向している方向性と重なるものの、現状ではSiriがそれに追いつけていない点が対照的だ。

iOS上でApple製AIが未完成である今、外部アプリによる音声操作の需要は高まっていくと見られる。Appleが自社AIを本格展開させる前に、Perplexityのような軽快で応答性に優れたアシスタントがユーザーの信頼を勝ち取る可能性は十分にある。
今後、Appleがどのタイミングで自社AIを刷新し、巻き返せるかが、モバイルAI市場の分岐点となるだろう。