バイナンスが暗号資産4銘柄を上場廃止へ 市場再編の兆し

2025年4月24日、暗号資産取引所バイナンスがAlpaca Finance(ALPACA)など4つの銘柄について5月2日に上場廃止すると発表した。これを受け、各トークンの価格が20%前後急落しており、グローバル市場に波紋が広がっている。
ALPACA・VIBら上場廃止の背景と要因
バイナンスは4月24日、グローバル市場向けに4銘柄の上場廃止を発表した。対象となったのは、Alpaca Finance(ALPACA)、Viberate(VIB)、PlayDapp(PDA)、Wing Finance(WING)の4つである。
バイナンスは今回の判断理由について、「ユーザー保護の観点から、流動性や市場環境などにおいて一定の基準を満たさなくなった」としている。
注目すべきは、これらの銘柄の価格が発表直後に大幅に下落した点だ。
VIBが前日比-28%と最も大きく、WINGが-22%、PDAが-21%、ALPACAが-18%と軒並み急落した。市場からの信頼が一気に冷え込んだ格好だ。
今回上場が廃止された銘柄は、それぞれ独自の価値提案を掲げていた。
特にAlpaca Finance(ALPACA)は、Binance Smart Chain(BSC)上で構築されたDeFi(分散型金融)プロトコルとして、レバレッジ型イールドファーミング(※1)の提供を通じて人気を集めていた。
また、Viberateは音楽業界とブロックチェーンの接続、PlayDappはゲーム内資産のトークン化、Wing Financeはクロスチェーン(※2)対応のDeFi基盤という特色を持っていたが、いずれも市場環境の変化に耐えきれなかったようだ。
※1 イールドファーミング:仮想通貨を預け入れることで利息や報酬を得る仕組み。レバレッジ型では借入を活用して収益を増やす戦略がとられる。
※2 クロスチェーン:異なるブロックチェーン間で資産や情報のやり取りを可能にする技術。DeFiにおいては多くのプロジェクトが対応を進めている。
市場再編の兆し、バイナンスの上場審査強化による今後の影響
今回の上場廃止は、単なる銘柄整理にとどまらず、Web3業界全体に対するバイナンスの審査基準強化を象徴する動きと捉えることもできる。世界最大級の取引所であるバイナンスが積極的にプロジェクトの評価を行い、基準に達しない銘柄を排除する姿勢を見せたことで、プロジェクト側は今後、より透明性や持続性を求められる局面に入るだろう。
一方で、ユーザーにとっては保有銘柄が突然取引停止となるリスクが可視化されたとも言える。
今回の4銘柄のように、過去には一定の人気やユースケースが存在していたトークンでさえ、取引所の判断一つで市場から退場を余儀なくされる点は、多くの投資家に警戒感を与えるだろう。
中長期的には、質の高いプロジェクトへの資金集中が進み、玉石混交だったトークン市場が徐々に整理されていく可能性がある。
一方で、こうした動きが新興プロジェクトの成長機会を奪う懸念も否めない。
新興プロジェクトにとっては試練の、投資家にとっては見極めの時期に入ったと言えるだろう。