ブラックロック参入で加速　現実資産トークン化と30兆ドル市場

Coindeskの2025年4月21日の記事によれば、海外の暗号資産メディアで発表された最新レポートで、現実資産（RWA）のトークン化市場は2030年までに30兆ドルに到達する可能性が指摘されたという。
従来の予測を大きく上回る数字であり、世界の金融市場の構造が変わる兆しとも言える大胆な予測である。

予測が跳ね上がった背景

RWA（Real World Asset：現実資産）のトークン化とは、株式や不動産、債券、金などの現物資産をブロックチェーン上でデジタル化し、取引可能にする技術を指す。
RWAはかつては理論上の構想にすぎなかったアイデアだが、いま急速に現実の市場で存在感を増している。

注目を集めたのは、Security Token Marketのヘルヴィヒ・コニングス氏が2025年4月に発表した市場予測だ。
氏によれば、RWAトークン化市場は2030年までに30兆ドルに拡大する見通しだという。
これは、マッキンゼーの2兆ドル予測、ボストン・コンサルティング・グループの16兆ドルと比較しても桁違いに大きい予測だ。

現時点でトークン化された資産総額はすでに500億ドルを突破している。
ブラックロック、フランクリン・テンプルトンといったグローバル金融大手もこの市場に本格参入しており、着実に広まりつつある。
規模だけでなく、プレイヤーの顔ぶれが変わりつつある点も、金融業界におけるトークン化への本気度の表れといえよう。

鍵を握るのは規制とステーブルコイン

RWAトークン化の未来を左右する重要な要素の一つが、アメリカにおける暗号資産規制の動向である。
現在のトランプ政権は規制緩和の動きを強めており、制度的な土台が整えば、取引の透明性と安全性が保証され、一般市場との接点も増えるだろう。

また、決済手段として急速に存在感を強めているステーブルコインの動向も無視できない。
ステーブルコインはRWAトークン化の基盤的な存在であり、2030年にはその市場規模が3兆〜5兆ドルに達するとの予測もある。
トークン化された資産間の取引を円滑にする手段としての役割を果たすステーブルコイン(※)は、実体経済との橋渡しを担う存在として期待されている。

とはいえ、トークン化の進展には慎重さも必要だ。
資産のデジタル化は透明性と効率性を高めるが、同時にセキュリティや法的枠組みに対する依存度も増す。

技術が先行し、制度や倫理が追いつかない状況では、信頼の基盤が揺らぐ可能性もある。
各国の法整備の動向によって、市場規模は大きく左右されることになるだろう。

※ステーブルコイン：
価格が米ドルなどの法定通貨に連動する暗号資産。価格変動が少ないため、仮想通貨市場での決済や価値保存手段として使われる。RWAトークン化では資産間のブリッジとして注目されている。