KATE、香港マツキヨでAI×ARの体験型メイクコンテンツ提供開始 アニメイラスト生成でZ世代の興味を引く

2025年4月22日、カネボウ化粧品のブランド「KATE」が、香港のマツモトキヨシ銅鑼湾店にて、AI分析とAR技術を活用した体験型コンテンツ「TOKYO 2D FACE」の提供を開始する。現地顧客に向けて、バーチャルメイクとアニメイラスト生成を組み合わせた新たな美容体験を提案している。
AI×ARでメイク提案とアニメ化を融合
KATEは、香港のマツモトキヨシ銅鑼湾(コーズウェイベイ)店にて、顔印象AI分析とAR(※)技術を組み合わせた新サービス「TOKYO 2D FACE」の展開を開始する。本コンテンツは、TOPPAN、ピラミッドフィルムクアドラと共同開発された。
この体験は、AIが利用者の顔立ちを分析し、その印象に基づいたメイクスタイルを提示する。ユーザーは提案されたメイクをARで自分の顔に再現し、仕上がりをリアルタイムで確認できるという。
KATEは、2022年よりマツモトキヨシ銅鑼湾店で東京のトレンドを体感できるコンテンツを展開してきた。
今回、その体験コンテンツがリニューアルされ、日本独自のカルチャーを象徴するアニメ要素を新たに組み込み、より魅力的な体験へと進化した。「人に伝えたくなる」「何度でも体験したくなる」ような設計が意識されているという。
AIによる顔印象の解析結果をもとに、“TOKYOスタイル”のメイクを提案。さらに、このARメイクをベースに生成AIがアニメイラストを作成。利用者は自分の顔をモチーフとした2Dアバターを手に入れることができ、完成画像はQRコードを通じてスマートフォンに保存可能となっている。
多言語対応も施されており、英語、繁体字、簡体字のいずれかを選択して体験を進められる。
※AR(拡張現実)技術とは、実際の風景にコンピュータで生成された映像や情報を重ねて表示する技術。エンタメや医療、美容分野での応用が進んでいる。
香港市場でのブランド強化狙うKATE 今後の展望と課題
KATEはこれまでも、若年層をターゲットに斬新な表現と自己演出をサポートするプロダクトを展開してきた。
今回の取り組みも、アニメ文化に親しみのあるZ世代を中心とする利用者に訴求する狙いがあるとみられ、現地ドラッグストアと連携する形で、ブランドの世界観を新たな形で浸透させていく構えだ。
「TOKYO 2D FACE」は、コスメ購入前の疑似体験と自己表現の双方を実現するコンテンツであり、特にスマートフォンを中心としたデジタルネイティブ層との親和性が高いだろう。
メイク体験をアニメイラストという形で記録・共有できる点は、SNSでの投稿・拡散を促進する要素としても機能すると考えられる。
一方で、ARメイク体験や生成AIの処理結果が利用者の期待と乖離した場合、満足度の低下につながる可能性も否定できない。体験の質が均質でない場合、逆効果となる懸念もあるだろう。
AIやAR技術を使ったサービスは、継続的な技術更新や精度管理が求められる領域でもある。今後、他社との体験価値の差別化や、技術的安定性の両立が、KATEの課題になると予想される。
参照元:株式会社カネボウ化粧品