SimilarWebが新機能「AIチャットボットトラフィック」を公開　対話型AI経由の流入解析が可能に

デジタルデータ分析事業のイスラエルSimilarWeb(シミラーウェブ)の日本法人、SimilarWeb Japanは2025年4月17日、本社が4月7日に発表した対話型AI経由のウェブサイト流入を可視化する新機能『AIチャットボットトラフィック』について、日本国内での展開を発表した。この機能は、企業のマーケティング戦略における意思決定に新たな視点をもたらす可能性がある。

AIチャットボットが生む新たな流入チャネル、その可視化で戦略設計が変わる

SimilarWebが発表した「AIチャットボットトラフィック」は、ChatGPTをはじめとする対話型AIを介して自社サイトへ誘導されたトラフィックを定量的に把握できる機能である。
これまでブラックボックス化されがちだったAIチャットボット（※）のリンク生成と流入経路が、明確に視覚化される仕組みが導入されたことにより、マーケティング担当者は流入の発生源を特定しやすくなった。

データの収集は、SimilarWeb独自のウェブクローリング技術とユーザー協力型のトラフィックデータ分析基盤によって行われている。
具体的には、AIチャットボットが生成したURLが実際にクリックされ、どの程度のセッションが発生しているかといった動きを解析する。加えて、どのプラットフォーム経由かを判別できるため、ChatGPT、Gemini、Claudeなど、複数のAIを対象に比較分析が可能となる。

※AIチャットボット：人工知能を活用した対話型のソフトウェア。ユーザーの問いに自然言語で返答し、必要に応じてリンクを生成して情報源へ誘導する。

AIトラフィックの活用が加速　マーケティングとSEOの未来を左右する鍵に

この新機能は単なるアクセス解析にとどまらず、競合分析にも有効なツールとして注目されている。
AIチャットボット経由でどのような企業コンテンツが取り上げられているか、競合と自社の相対的な可視性を分析することで、差別化戦略をより精緻に構築できる。特にB2B領域（※）では、AIが参照する一次情報やホワイトペーパーの有無が流入に直結するため、こうしたインサイトは極めて重要だろう。

今後、AIチャットボットトラフィック機能はさらなる進化を遂げると見られる。
プラットフォームごとの会話文脈や生成トリガーの可視化など、より深い分析が実現されれば、AIチャットに特化したSEO（※）施策が生まれる可能性もあるだろう。
従来の検索流入に加え、AIという新たなゲートキーパーを意識した戦略が求められるようになると考えられる。

AIチャットボットの利用が広がる中では、企業は自社のコンテンツをどのように最適化させ、AIに評価されるかを真剣に考える必要があるだろう。マーケティングの手法が大きく変わることが予想され、企業はAIを活用した新たなアプローチを模索することになるのではないだろうか。
全体として、AIチャットボットトラフィック機能は、マーケティングとSEOの未来を左右する重要な要素となる可能性が高い。

※B2B領域：Business to Businessの略で、企業同士が商品やサービスを提供・取引するビジネス形態を指す。製造業、ITサービス、法人向けソリューションなどが該当する。

※SEO（Search Engine Optimization）：検索エンジン最適化。ウェブサイトを検索結果上位に表示させるための手法であり、AIによる引用も今後その一環として重要視されると見られる。