トランプ米政権、ディープシークの米技術購入阻止のため罰則などを検討

2025年4月16日、米紙ニューヨーク・タイムズは、トランプ米政権が中国のAI企業ディープシークによる米国技術の取得を阻止するため、罰則の導入や、米国市民によるディープシーク製AIモデルの使用禁止を検討していると報じた。
さらに、エヌビディア製の半導体に対する輸出規制も焦点とされており、米中間の技術覇権をめぐる緊張が再び高まる恐れがある。
AI新興企業の急成長に米政府が警戒 輸出規制による封じ込めを模索か
米国政府は、中国のAI(人工知能)企業ディープシーク(DeepSeek)が急成長する中、米国由来の先端技術の流出に神経をとがらせているようだ。
同社は比較的低コストで高性能なAIモデルを開発する企業として注目されており、その成長スピードに対して米当局が懸念を示しているという。
米当局はAI開発分野における主導権を維持するため、特にエヌビディア(NVIDIA)製AI半導体の輸出規制を一段と強化する方針を示している。
これらの半導体は、AIモデルの訓練や動作に不可欠な演算能力を提供しており、ディープシークの中核技術を支える存在と考えられている。
もしエヌビディア製品の供給が断たれれば、同社の事業展開に直接的な打撃を与える可能性があるだろう。
実際、米議会下院に設置された中国特別委員会は、エヌビディアに対し、中国および東南アジア諸国への販売実態について情報開示を求める書簡を送付しているという。
これにより、米中間の技術的な結びつきの可視化と制御が一段と強化されるとみられる。
技術覇権をめぐる圧力と連鎖 他国企業への波及も不可避か
今回の動きは、単なる一企業の輸出規制にとどまらず、世界的なサプライチェーンや技術覇権に関わる広範な問題を内包している。
ディープシークのようなAIスタートアップに対する規制が本格化すれば、中国国内の代替技術開発が加速する一方で、米国企業にとっては売上機会の喪失につながる懸念もある。
とりわけエヌビディアにとっては、主要市場である中国および周辺地域に対する制限が事業収益に影響を与えかねない。
同社は15日、「AI向け半導体『H20』の対中輸出が米政府によって規制されたことにより、業績に55億ドルのマイナス影響が出る可能性がある」と警告した。
2022年以降、米国はエヌビディア製の先端半導体の大半について対中輸出を制限しており、その背景には中国による軍事転用への警戒があるとみられる。
一方で、米国が規制を強化すればするほど、他国の技術プレイヤーが中国市場に参入する余地が生まれる可能性も考えられるだろう。
結論として、今回の動きは短期的には中国企業の技術成長を抑制する効果をもたらす可能性がある一方で、中長期的にはグローバルなイノベーションの分断を促進し、結果的に米国の技術覇権に揺らぎをもたらすリスクもはらんでいる。どの程度の介入が「最適な抑止」となり得るかが、今後の政策判断の重要な分岐点となるだろう。
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