富士通、日本語LLM「Takane」をNutanixで提供開始　日本市場に特化した生成AIの新潮流

2025年4月16日、富士通は自社開発の日本語大規模言語モデル「Takane（タカネ）」の提供を正式に開始した。国内企業を対象としており、NutanixのAI基盤「Enterprise AI（NAI）」およびクラウド基盤「Cloud Platform（NCP）」を活用する。
日本語に特化した生成AIモデルの商用展開は、業務効率化を目指す企業にとって大きな転機となる可能性がある。

「Takane」が日本語ビジネスシーンを変革へ　Nutanixとの連携が示す構造転換の兆し

今回の「Takane」のNutanixのAI/クラウド基盤との連携により、従来の汎用モデルでは対応が難しかった日本語独特の言い回しや、業務文書特有の構文にも柔軟に対応できる環境が整いつつある。

プラットフォームとして採用された「Nutanix Enterprise AI（NAI）」および「Nutanix Cloud Platform（NCP）」は、高度な仮想化技術とハイブリッドクラウド機能を有しており、大規模な言語モデルの処理を安定的に支えるインフラとして注目を集めている。

これらの基盤を用いた「Takane」の提供は、エフサステクノロジーズの統合型ソリューション「PRIMEFLEX for Nutanix」を通じて実現されており、導入から運用までを一元的に管理可能な点も企業にとって大きな利点となる。

富士通によれば、従来のグローバルLLMは日本語の語彙や文法構造への対応に限界があり、業務利用における出力の信頼性に課題を残していた。
Takaneは、こうした状況を背景に開発と提供が推進された。
国内市場における生成AIの活用が加速する中、日本語の精度とビジネス文書への応用力を兼ね備えたモデルは、今後のデファクトスタンダードとなる可能性がある。

マネージドサービス化で広がる導入余地　企業DXを促進する「Takane」の可能性

富士通は今後2025年7月を目処に、「Takane」を組み込んだNAI環境のマネージドサービス提供を開始する計画だ。
この構想が実現すれば、AI基盤の運用を自社で行う必要がなくなり、より多くの企業がLLM活用に踏み出しやすくなるだろう。
特に、情報秘匿性が求められる業界やレガシーシステムとの連携が必須となる現場にとって、オンプレミスやエッジ環境での利用を想定した柔軟な構成は重要な判断材料となるだろう。

現在日本国内では、生成AIの導入が大企業から中小企業へと広がりを見せているが、その多くが英語対応モデルの応用にとどまっている。
一方Takaneは、日本の商習慣や業務プロトコルまでを視野に入れた設計となっているため、各種業務プロセスにおける出力精度の高さが強みとされる。
これにより、ドキュメント作成の効率化や問い合わせ対応の自動化、さらには専門職のナレッジ継承など、幅広い用途への展開が期待されている。

今後は、各業界でTakaneをベースとした業務特化型AIの登場も予想される。
LLMが単なる補助ツールではなく、企業の戦略的資産として位置づけられる日も近いのではないだろうか。