AIが洗髪する時代へ 中国・広州に“自動シャンプー専門店”登場

2025年4月15日に報じられた現地メディアの情報によると、中国・広州で人工知能(AI)を活用した自動洗髪専門店が登場し、都市部の利便性とテクノロジーの融合として話題を集めている。頭を機器に入れるだけで約13分で洗髪が完了するこのサービスは、AIによる美容分野の自動化の先駆けと見なされている。
都市型ライフスタイルに適応するAI洗髪 自動化がもたらす“美容の変革”
この自動洗髪専門店は、中国広東省の中心都市・広州にてオープンした。都市生活者の時間的制約や利便性を背景に、AIによる洗髪サービスの登場は都市部を中心に注目されている。
仕組みは極めてシンプルで、顧客がベッドに横たわり、頭部を特別な洗髪機器に差し入れると、AIが頭皮の状態を即座にスキャン。脂性・乾燥などの傾向に応じて適切なシャンプーを自動で選択し、2回のシャンプー、1回のトリートメント、計7回の洗浄を13分間で完了させる。
技術的には、AIが搭載されたセンサーが頭皮環境を判断し、シャンプー剤の種類や水圧、水の噴射角度までも制御する。これにより、利用者ごとの最適な洗髪が提供される仕組みだ。また、施術前にはスタッフがタオルや耳栓を用意するなど、完全無人ではなく人の手によるサポートも併用されている点が特徴的である。
初期段階ではプロモーション価格として9.9元(約193円)で提供されていたが、現在は19元(約370円)前後へと移行しているようだ。
SNSで拡散されるAI洗髪体験 進む業界の自動化と“人間の役割”の再定義
このAI洗髪店については、「想像以上に清潔に洗ってくれた」といった好意的な意見が見られる一方、「結局、髪を乾かすのは自分」「完全に自動化されていない」という批判的な声も挙がっている。
洗髪という身体接触を伴う行為において、心理的な安心感やリラックス効果を重視する層にとっては、機械より人間による施術を好む傾向も根強いだろう。
自動化が進んだことで生まれる“便利さ”と“期待とのズレ”のギャップは、現段階の技術が抱える課題を象徴しているとも言える。
このAIシャンプー専門店の登場は、美容分野におけるテクノロジー導入の試金石と位置づけられる。すでに接客・物流・製造などの産業で進んでいるAIの波が、いよいよ美容の領域にも本格的に押し寄せてきたと見るべきだろう。
都市部を起点に、この流れがグローバルに拡大するかどうか、今後の動向に注目が集まる。