貿易戦争がAI成長に逆風、データセンター需要にブレーキ　IEAが警鐘

2025年4月10日のロイターの報道によると、国際エネルギー機関（IEA）のコッツィ持続可能技術展望局長は、世界的な貿易戦争がAI関連のデータセンター分野の成長に深刻な影響を及ぼす可能性があると指摘した。電力需要の鈍化や設備投資の停滞が、AIの発展を大きく妨げるとの懸念が示された。

データセンター成長に陰り、AI需要の鈍化リスク

コッツィ氏は、国際的な貿易戦争が、データセンターの開発投資や供給網の安定性に影響を及ぼしており、その結果としてAI成長の足かせとなる恐れがあると警鐘を鳴らした。
同氏は、経済成長の鈍化や関税の上昇がAIインフラの発展にとって大きな障害となると指摘している。

IEAが10日に公表した報告書によれば、2030年までにAIを牽引役とするデータセンター需要の約8割が、米中EUの3地域に集中する見通しであるが、現状の地政学的緊張が継続する場合、この予測には大きな下振れリスクが生じる可能性がある。

また、電力消費の見通しについても、貿易戦争の影響を加味した「逆風シナリオ」では、2030年の世界のデータセンター電力消費量が670TWhにとどまるとされており、基本シナリオで想定される945TWhから大幅に下方修正されている。
これは、世界全体でのAI普及が見込まれる中で、現実には成長ポテンシャルが抑制されかねないことを示唆している。

米国の主導と政策次第で左右されるAIの未来

米国は2030年までに、国内の電力需要増加の約半分をデータセンターが占めるとされ、AI関連の設備投資を積極的に推進している。
現時点では、米国が世界のデータセンター開発をリードしている状況だが、これも貿易戦争の長期化や対中政策の動向次第で変化する可能性がある。

一方で、EU圏でも独自の規制強化や再エネ転換を背景に、エネルギー効率の高いデータセンター整備に取り組んでいるが、経済的インセンティブや部品調達の不安定さが依然として課題となっている。
これにより、各国の政策や国際協調の成否が、AI技術の拡大にとって鍵を握る局面となるだろう。

今後、AIの潜在力を最大限に引き出すためには、安定した貿易環境の構築と、持続可能なインフラ整備が不可欠だ。
グローバルな視点での政策設計が求められており、国際社会の対応次第では、AI産業の未来は大きく変わることになるだろう。

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