2024年の半導体市場が21％成長へ　NVIDIAが初の世界首位に浮上

ガートナーは2025年4月10日（米国時間）、2024年の世界の半導体売上高が6559億米ドルとなる見込みだと発表した。2023年の5421億米ドルからは21％増となる。
中でも米NVIDIA（エヌビディア）が初めて首位に立つ見通しであり、AIやデータセンター需要の高まりが背景にあるとされている。

AI需要が牽引する半導体市場、NVIDIAが急浮上した理由とは

半導体市場拡大の中心にあるのは、演算処理性能の高さが求められるAI分野だ。生成AIや大規模言語モデル（LLM）などの進展に伴い、膨大なデータ処理能力を持つ半導体が必要とされている。

この潮流のなか、NVIDIAが初めて世界の半導体市場で売上首位に立つと報じられた。
同社はこれまで、GPU市場で圧倒的な地位を築いてきたが、近年ではAI向けの高性能半導体製品群「H100」などの販売が急増している。
生成AIブームとクラウド大手によるGPU需要が一気に拡大したことが、急成長を後押しした格好だ。

一方で、これまで市場をリードしてきたIntelやSamsungは、サーバー向けやスマートフォン用半導体の需要鈍化により成長が停滞しているという。特にIntelは、PC市場の伸び悩みに直面しており、NVIDIAとの明確な差が浮き彫りとなった。
製品の用途や競争力の差が、シェア順位を入れ替える結果となった。

2025年以降の市場展望と企業戦略の焦点

半導体市場の成長は今後も続く見通しであり、2025年にはさらなる高性能化と低消費電力化を両立させた新技術の登場が注目されている。特にAIチップ専用アーキテクチャの進化や、3nmプロセス（※）による微細化技術の導入が各社の開発計画に組み込まれており、市場競争はさらに激しさを増すとみられる。

NVIDIAは現在、次世代GPU「Blackwell」の開発を進めており、すでに大手クラウドプロバイダとの連携を強化している。
今後はAIトレーニングのみならず、推論処理に特化した半導体製品も拡充し、裾野の広いAI関連市場での主導権を狙うとみられる。

一方で、競合他社も反撃の構えを見せている。
AMDはアクセラレータ製品「MI300」でAI市場への再挑戦を進めており、IntelもGaudiシリーズを強化することでサーバー市場での再起を図る。
ほかの企業も技術革新や製品開発に力を入れることが求められる。これにより、消費者にとっては選択肢が増え、価格競争が促進されることが期待される。

半導体市場は今後も成長が続くと見込まれ、技術革新と競争が新たなビジネスチャンスを創出すると考えられる。
技術力に加え、量産体制で優位に立てるかどうかが、各社の命運を分ける分水嶺となるだろう。

※3nmプロセス：半導体チップの回路幅を示す単位。数値が小さいほど性能が高く、省電力化にもつながる。次世代チップの鍵となる技術。