トランプ一族のDeFiプロジェクトWLFI、USD1のエアドロップを提案

米国時間2025年4月8日、トランプファミリーが関与する仮想通貨プロジェクト「World Liberty Financial（WLFI）」が、新たなガバナンス提案を公開し、公式ステーブルコイン「USD1」のテストエアドロップを計画していると明かした。

USD1の機能性と認知拡大を狙うWLFIの新提案、その技術的・戦略的意図

今回発表されたガバナンス提案では、WLFIトークンを保有するすべてのユーザーに対し、USD1を少量配布するテストエアドロップの実施が示された。

この施策の第一の目的は、WLFI独自のエアドロップシステムが本番環境で正しく機能するかを技術的に検証する点にある。ユーザーの反応や処理負荷、配布の正確性などを総合的にテストすることで、将来的な大規模展開への土台を築こうとしている。

次に、USD1の認知度向上が挙げられる。トークンそのものは、米国政府の短期国債や米ドル預金などによって100％裏付けされており、1トークン＝1米ドルの価値を維持することを目指している。これは競合するステーブルコインと比較しても高い信頼性をアピールする要素といえる。

さらに、WLFIトークンの初期保有者に対するリワード的意味合いも含まれている。プロジェクト立ち上げ時から支えてきたコミュニティへの感謝を形にすることは、分散型プロジェクトにおける長期的な支持の維持に寄与するだろう。

このエアドロップはイーサリアム（ETH）メインネット上で行われる計画で、対象となるウォレットの総数と予算に基づき配布金額が決定される見通しだ。
分散型の意思決定を基盤とするWLFIの構造上、提案が承認された後であっても運営側が実施内容を変更・中止できることが明記されており、柔軟な運用が想定されている。

USD1流通に向けた布石と今後の展開、マーケットに与える影響とは

仮にテストが成功すれば、USD1は今後さまざまなDeFiサービスや決済プラットフォームに組み込まれる可能性が高まる。
既存のステーブルコイン市場ではUSDTやUSDCが大きなシェアを持つが、政治的影響力を背景に持つUSD1の登場は、一定の差別化要因を提供し得る。特にトランプファミリーがバックにいるという点は、米国内外の保守層や新興市場のユーザーに対する訴求力となるだろう。

一方で、プロジェクトの政治的背景が仮想通貨市場に与える影響は慎重に見極める必要がある。
既存の金融システムとどのように連携し、また規制当局との関係性を築くかが、今後の成長の鍵となるだろう。
トランプファミリーによる仮想通貨市場への本格的な関与は、単なるマーケティング要素にとどまらず、政治と金融の接点として注目を集めている。

今後の展開としては、テストエアドロップの結果を踏まえた本格ローンチの時期や、より広範なユースケースへの拡張が焦点になるだろう。トークンエコノミーの中でUSD1がどのような位置付けを得るかは、今後数ヶ月の動向次第と言えそうだ。