スタンフォード市、AIイノベーション研究所設立に1億ドルの資金が集まる　リスキリングも視野に

2025年3月1日、コネチカット州スタンフォード市が、州の「AIイノベーション研究所」設立のための1億ドル（約150億円）の州資金獲得に向けた最終選考に残ったことがわかった。^{Stamford Advocate}が報じている。

選考の結果は2025年6月に発表される見通しで、実現すれば同市は米国東海岸の新たな技術ハブとしての地位を確立する可能性がある。

州のイノベーションクラスター計画の一環として競争が激化

スタンフォード市はニューヘイブン市、ハートフォード市と共に、コネチカット州が推進する「イノベーションクラスター計画」の資金獲得を巡って競争している。
この計画は、特に人工知能（AI）や量子コンピューティングなどの先端技術分野で州の経済基盤を強化することを目的としたものだ。

キャロライン・シモンズ市長は「この資金は我が市に変革をもたらす可能性を秘めている」と述べ、州と民間の投資を活用してスタンフォードの地位向上につながると期待を表明した。リア・カガン経済開発局長も、革新と教育を促進する包括的なキャンパス環境構築というビジョンを強調している。

スタンフォード市の計画によれば、AI研究所はスタンフォードの鉄道駅から半マイル以内に位置し、住宅および商業スペースを含む大規模な開発の中核を担うとされる。
研究所は単なる研究施設ではなく、AIや技術分野での就労に向けた住民トレーニングの場としての機能も果たす方針だ。リスキリングによって、テクノロジー産業における熟練労働者の需要増加に対応する狙いがある。

地域経済の活性化と技術人材育成が期待される効果

スタンフォード市の提案では、ダウンタウン地区、UConnキャンパス、鉄道駅間の歩行者アクセス改善も計画されており、地域全体の連携強化を図る内容となっている。単なる研究施設建設にとどまらず、都市環境の向上も視野に入れた総合的な開発計画と言える。

資金獲得のためには州以外からのマッチングファンドも必要とされており、現時点で複数の民間企業が支援に関心を示しているという。この開発計画が実現すれば、スタンフォード市は技術産業における重要拠点としての地位を確立し、コネチカット州全体の技術ハブとしての評価向上にも寄与するだろう。

シリコンバレーのあるカリフォルニア州とは異なる、東海岸型の技術エコシステム（※）が形成される可能性も指摘されている。最終結果は2025年6月に明らかになる予定であり、まだ結果は不明だが、スタンフォード市の関係者は楽観的な見方を示している。

※技術エコシステム：研究機関、スタートアップ企業、投資家、大学などが相互に連携し、イノベーションを生み出す環境のこと。自然界の生態系のように各要素が相互依存関係にある。