【Week : 4/21-4/25】AI×法務サービスやWeb3プラットフォームが資金を集める スタートアップ資金調達リサーチ

4月も下旬に入り、引き続き様々な分野で活躍するスタートアップ企業が資金調達を発表しました。
この記事では、4月21日から4月25日の間にリリースされた、スタートアップの資金調達ニュースをまとめています。 さらに、事業内容、調達金額、今後の展望についても詳しく解説します。
AIを利用したリーガルテックサービスを提供するリセ、 11.4億円の資金調達を実施
事業内容: AI契約書レビューサービス「LeCHECK(リチェック)」などの提供
調達金額: 11.4億円
引受先: MPower Partners Fund(リードインベスター)、Sansan、Angel Bridge、BRICKS FUND TOKYO
今後の展望: 新規事業開発の推進、既存事業の拡大、人材採用の強化
リセは、西村あさひ法律事務所出身の代表が設立したリーガルテック企業で、AIを活用したサービスを展開しています。主力事業であるAI契約書レビューサービス「LeCHECK(リチェック)」は、2020年末の提供開始以来、中堅・中小企業から東証プライム市場上場企業などの大手企業、法律事務所まで、約4,000社に導入されています。また、翻訳機能サービス「LeTRANSLATE(リトランスレイト)」、契約書のAI自動管理サービス「LeFILING(リファイリング)」の提供を通じ、企業法務の業務効率化と品質の向上を支援しています。
今回の調達資金により、より多くの企業に質の高い法的サービスを提供するため、新規事業開発の推進、既存事業の拡大、人材採用の強化に取り組んでいく予定です。今後もサービスをさらに進化させ、最先端の技術と高度な法律助言を組み合わせることで、より多くの企業の法務課題解決に貢献することを目指しています。

建設機械レンタルのDX化を推進するSORABITO、約10億円の資金調達を実施
事業内容: 建設現場に必要な資機材の調達・稼働管理を最適化するサービスの開発・提供
調達金額: 約10億円
引受先: ENEOSイノベーションパートナーズ、ゼンリンフューチャーパートナーズ、インスパイア、日本政策金融公庫
今後の展望: 「はたらく機械のエコシステム」の事業化加速
SORABITOは、「はたらく機械のエコシステムを共創する」をビジョンに掲げ、建設現場に必要な資機材の調達・稼働管理を最適化するサービスを開発・提供しているスタートアップです。建設機械レンタル業界の営業DXを支援するSaaS「i-Rentalシリーズ」では、建設会社からのレンタル注文をオンライン化する「i-Rental 注文」、建設機械の点検業務をペーパーレス化する「i-Rental点検」などのサービスを提供しています。また、建設会社向けのサービスとして「GENBAx点検」を展開し、建設機械の始業前点検のほか、設備や足場の点検、安全点検などあらゆる点検表のペーパーレス化を実現してきました。
今回の資金調達を契機として各社との協業を推進することで、SORABITOは「いつでも、どこでも、誰でも」機械を貸し借りすることができる世の中を様々なステークホルダーとともに実現し、建設機械の価値を最大化することを目指しています。

AIエージェント技術でソフトウェアテスト自動化を推進するMagicPod、5億円の資金調達を実施
事業内容: AI技術を活用したテスト自動化クラウドサービス「MagicPod」の開発・運営
調達金額: 5億円
引受先: HIRAC FUND、One Capital(共同リード投資家)
今後の展望: ノーコードとAIエージェントを融合させる開発、テスト自動化の普及拡大
MagicPodは、モバイルアプリテスト、ブラウザ(ウェブアプリ)テストの両方に対応したAIテスト自動化プラットフォーム「MagicPod」を開発・提供しているスタートアップです。プログラミングなどの特別なスキルがなくても直感的に使うことのできるデザイン、クラウドでのサービス提供によるメンテナンス性の高さ、AI技術を活用した自動修正によるテストプログラム修正の手間削減などによりリリースサイクルの高速化を支援しており、IT業界のリーディングカンパニーを中心にすでに500社以上の企業が導入しています。
今回の資金調達により、ノーコードとAIエージェントを融合させる開発に着手する予定です。具体的には、Claude、Cline、Cursor、Devinなどの外部AIエージェントが「MagicPod」のテストを扱えるようにし、使い慣れたAIエージェントに人間の言葉で指示を出すことで簡単にE2Eテストを作成・実行できるようにすることと、「MagicPod」自体にAIエージェントを搭載し、テストスクリプトのメンテナンスを自律的に行えるようにすることの2つを柱として開発を進める方針です。これにより、これまでよりもはるかに多くの現場でテスト自動化を可能にし、企業のテストのコストと品質の課題を解決することを目指しています。

次世代エンターテインメントプラットフォーム構築するYOAKE entertainment、約1.8億円の資金調達を実施
事業内容: エンターテインメントコンテンツの企画、制作、開発
調達金額: 約1.8億円
引受先: Next Web Capital、Bitbank Ventures、Credit Scend、ノット、博報堂キースリー、クオンタムリープ・グロース・イニシアティブ、Taisu Ventures、X2Y2、その他Web3領域およびエンターテインメント領域を含む国内外投資家多数
今後の展望: プラットフォーム開発の加速、コンテンツ拡充、IP戦略の強化
YOAKE entertainmentは、ブロックチェーン技術を活用した次世代エンターテインメントプラットフォームの構築を目指すスタートアップです。同社が展開するプラットフォームでは、BOBG PTE. LTD.(Co-CEO 増山健吾・君塚大和/シンガポール、以下、「BOBG社」)が開発した「$YOAKE」を活用することでアーティストとファンのつながりを構築することが目標です。具体的には、正式にライセンスされたIPをWeb3エコシステムに統合することで、ファンエンゲージメントを高める構想を描いています。
今回の資金調達により、YOAKEはソニーグループが提供するブロックチェーン「Soneium」と「$YOAKE」を基盤としたエンターテインメントプラットフォームの開発を推進することを決定しています。他にも、グローバル市場を視野に入れた多様なエンターテインメントコンテンツの制作・展開、既存IPコンテンツとの連携強化および新規IPコンテンツ開発による多角的な展開を進めていく予定です。プラットフォーム構築により、アーティストとファンの日々の活動に新たな価値を付加し、国境を超えたグローバルなファンコミュニティを形成することを目指しています。

フードブランド「2foods」を手掛けるTWO、7.5億円の資金調達を実施
事業内容: 「2foods」ブランドの企画・製造・販売
調達金額: 7.5億円
引受先: 環境エネルギー投資(リードインベスター)
今後の展望: 「2foods」のブランディング、既存商品拡販のためのマーケティング、新商品開発
TWOは、”欲しいものは、いつも2つある。”を掲げるフードブランド「2foods」を手掛けるスタートアップです。「おいしさ」を求めれば「健康」が、「機能性」を求めれば「デザイン性」が、「サステナビリティ」を求めれば「価格」が犠牲になるなどの「食のトレードオフ」を解消し、あらゆる人が食を心から楽しめる新たなフードカルチャーの実現を目指しています。「2foods」では、食でもっとも重要な「おいしさ」を第一に、栄養バランスを追求した「健康・美容」のサポート、日常を彩るようなパッケージやクリエイティブといった「世界観」などの価値を追求。また、植物由来の原材料を使用することで、健康付加価値やサステナビリティも実現しています。
同社の代表商品には、日本初のリポソームビタミンCを配合したグミ「2Gummy LIPOSOME VC」、カフェイン量に着目したゼロカフェインエナジードリンク「2Energy」、やみつきになるおいしさとギルトフリーを両立したスナック「2Snack」などがあります。今回調達した資金は主に、「2foods」のブランディング、既存商品拡販のためのマーケティング、新商品開発など、さらなる事業展開を加速していくために充当する予定です。

まとめ
4月21日から4月25日のスタートアップ資金調達例をまとめました。
今週の資金調達ニュースを見ると、テクノロジーとAIを活用したサービス開発が引き続き資金調達の主流となっていることがわかります。特に、リセのAI契約書レビューサービス、MagicPodのAIエージェント技術を活用したテスト自動化など、従来の業務プロセスを効率化・高度化する取り組みに投資が集まっています。また、SORABITOのような建設業界のDX化を進める企業も資金調達に成功しており、従来型産業におけるデジタル変革の動きも強まっていることが伺えます。
一方で、YOAKE entertainmentのブロックチェーン技術を活用したエンターテインメントプラットフォームや、TWOの植物由来食品ブランド「2foods」など、新たな文化や消費者ニーズを創出する革新的なビジネスモデルも投資家から高い評価を得ています。特に、サステナビリティや新たな価値観を提案するビジネスに対する投資が活発化しており、単なる技術革新だけでなく、社会的意義や新しいライフスタイルを提案する企業が成長していく傾向が強まっているといえるでしょう。
「Plus Web3」では、今後も資金調達例を紹介してまいります。