ウェルネス施設DXやカーボンクレジットが注目を集める スタートアップ資金調達リサーチ【Week : 1/20-1/24】

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1月も中旬に入り、引き続き様々な分野で活躍するスタートアップ企業が資金調達を発表しました。

この記事では、1月20日から1月24日の間にリリースされたスタートアップの資金調達ニュースをまとめています。さらに、事業内容、調達金額、今後の展望についても詳しく解説します。

目次

ウェルネス産業をSaaSで支援するhacomono、46億円の資金調達を調達

事業内容: ウェルネス/運動施設向けオールインワン・マネジメントシステム「hacomono」の開発・提供

調達金額: 46億円

引受先: JPインベストメント、31VENTURES、Prominent East Coast Ivy League Endowment、ゆうちょ Spiral Regional Innovation Fund、ALL STAR SAAS FUND、GMO VenturePartners

今後の展望: カテゴリーリーダーとしてのLayer Cake戦略の加速、Fintech新サービス拡充、IoT x AI新サービス拡充、近接ドメインへのGo to Market、新しいサービス・プラットフォーム群の投入、M&A、グローバルの推進

hacomonoは「ウェルネス産業を、新次元へ。」をミッションに掲げ、ウェルネス産業のDXを推進するインダストリーSaaSスタートアップです。フィットネスクラブを中心に幅広い運動施設向けにサービスを展開し、会員管理や入退館システム、決済ソリューションなどを提供しています。前回の資金調達から約1年8ヶ月が経過し、事業は大きく成長。年間経常収益は過去3年で16倍を突破し、サービスを利用する施設数は2.6倍に拡大しました。また、プラットフォームを通じた決済取引は7倍以上に増加し、利用者数も610万人増加するなど、順調な成長を続けています。

hacomonoのプラットフォームは、フィットネスクラブ、運動スクール、公共施設など幅広い施設に導入されています。特に2024年から開始した決済関連のFintech事業が好調な成長を見せており、IoTデバイスとの連携による新しい顧客体験の創出にも成功しています。今後は国内市場での展開に加え、グローバル市場への進出も視野に入れています。

カーボンクレジットで持続可能な農業を目指すフェイガー、11.7億円の資金調達を実施

事業内容: 持続可能な農業を目指したカーボンクレジットの生成と販売、環境価値市場の創出

調達金額: 11.7億円

引受先: 環境エネルギー投資、インキュベイトファンド、東京海上ホールディングス

今後の展望: 国内外での持続可能な農業の推進、カーボンクレジット生成・販売を通じた環境価値市場の創出

フェイガーは、農業分野、特に水田からのメタンガス排出削減に取り組むスタートアップです。水田では温室効果ガスの一種であるメタンが発生しますが、水管理の工夫により、その排出量を抑制することができます。同社は農家と協力してこの排出削減活動を実施し、その成果をカーボンクレジットとして数値化しています。2023年には約2,000ヘクタールの水田で活動を展開し、CO2換算で5,000トン分のクレジットを創出。2024年度は活動規模を25,500ヘクタールまで拡大し、136,000トン分のクレジット創出を計画しています。

フェイガーのクレジット化の特徴は、クレジットの創出過程の透明性にあります。各クレジットについて、どの地域の農家がどのような活動で生み出したのかを明確に示すことで、購入企業は支援先の農家や地域との具体的なつながりを持つことができます。生成されたクレジットは、自社での排出削減が困難な企業に販売され、その収益は参加農家に還元されます。2024年7月にはベトナム現地法人を設立し、アジア地域での展開も開始しています。

光量子コンピュータの開発を行うOptQC、シードラウンドで6.5億円の資金調達を実施

事業内容: 光量子コンピュータの開発・商用化

調達金額: 6.5億円

引受先: グローバル・ブレイン、東京大学協創プラットフォーム開発、デライト・ベンチャーズ、科学技術振興機構

今後の展望: 2026年4月の商用機公開に向けた開発加速

OptQCは、東京大学大学院工学系研究科・古澤研究室の20年以上にわたる研究成果を基に設立された、光量子コンピュータの開発を行うスタートアップです。従来の量子コンピュータは、主に超伝導回路や冷却原子を使用する方式が採用されていましたが、これらには極めて低い温度環境が必要であり、量子ビットの大規模化が技術的に困難であるなどの課題がありました。これに対してOptQCは、光量子を利用した独自の量子コンピュータ技術を開発。室温での動作を実現したほか、量子ビット数の拡張性に優れ、高速な演算処理が可能という利点を持っています。これにより、量子コンピュータの実用化における技術的なハードルを大幅に下げることを目指しています。

同社は2026年4月に商用機の公開を予定しており、クラウドサービスや社内設置型として、研究機関や企業への提供を計画しています。機械学習、創薬研究、金融リスク分析、材料開発など、幅広い分野での活用が期待されています。

Web3事業を多角的に支援するPacific Meta、約6.6億円の資金調達を実施

事業内容: Web3アクセラレーター事業(投資、コンサルティング、マーケティング支援)

調達金額: 6.6億円

引受先: DIMENSIONなど

今後の展望: 組織体制とリサーチコンテンツの発信強化、事業成長の加速

Pacific Metaは、「To Create the Web3 Standard from Japan」というミッションを掲げ、日本とグローバルのWeb3エコシステムを結ぶ架け橋として活動するアクセラレーターです。設立からの2年間で支援プロジェクト数は150を超え、23カ国以上での事業実績を持つなど、急速な成長を遂げています。国内の多くのWeb3企業が特定分野に特化する中、Pacific Meta投資、コンサルティング、マーケティング支援を包括的に提供する点で、独自のポジションを確立しています。

今回の資金調達では、NFT分野で注目を集めるPudgy Penguins、メタバース分野のThe Sandbox、Web3ゲーム分野のFSLなど、各分野を代表する企業の経営陣が投資家として参画。これを基盤として、グローバルなネットワークの更なる拡大を目指しています。

「チャネルトーク」を運営するChannel Corporation、11億円の資金調達を実施

事業内容: All-in-one AIビジネスメッセンジャー「チャネルトーク」の開発・運営

調達金額: 11億円

引受先: ボンエンジェルスベンチャーパートナーズ、Laguna Investment、Altos Ventures

今後の展望: AIの更なる開発強化、ボイスALFの開発推進

チャネルトークは、AIチャットボット、接客チャット、CRMマーケティング、インターネット電話、ビデオ通話機能を備えたビジネスメッセンジャーを提供するプラットフォーマーです。世界中で18万社以上の企業に導入され、顧客対応の効率化を支援しています。特に、2024年に導入されたAIエージェント「ALF」は、短期間で1,000社への導入を達成するなど、高い評価を得ています。

日本国内では、ALFを活用した24時間顧客対応サービスや、配送先変更・注文キャンセルの自動処理システムなどが導入され、成果を上げています。また、地方自治体との協力も進んでおり、行政サービスの効率化にも貢献しています。今回の調達資金は主にAI技術の開発に投資され、音声応答機能「ボイスALF」など、新機能の開発を加速させる計画です。

まとめ

1月20日から1月24日の資金調達例をまとめました。

今週は、既存産業のDX推進から最先端技術の開発まで、幅広い分野で資金調達が行われました。特にhacomonoの46億円調達は、ウェルネス産業におけるDXの重要性を示す象徴的な事例となりました。また、OptQCやPacific Metaの事例は、量子コンピュータやWeb3といった先端技術分野における日本発のイノベーションの可能性を示しています。

「Plus Web3」では、今後も資金調達例を紹介してまいります。

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