スタートアップ資金調達リサーチ【Week : 1/6-1/10】

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新年が始まり、さっそく様々な分野で活躍するスタートアップ企業が資金調達を発表しました。

この記事では、1月6日から1月10日の間にリリースされたスタートアップの資金調達ニュースをまとめています。

さらに、事業内容、調達金額、今後の展望についても詳しく解説します。

目次

多彩なリアルエンターテイメントを提供するオリグレス、10億円の資金調達を実施

事業内容: 施設への集客支援SaaS開発・運営 、外部企業と提携したパスシリーズの展開、IP活用プロデュース事業など

調達金額: 10億円

引受先: アイティメディア、および複数企業

今後の展望: 事業拡大及び採用強化、M&A

オリグレスは、エンターテイメント関連、特にエンタメ施設に関する多彩なサービスを提供しているスタートアップです。旧社名は株式会社ORIGRESS PARKSでしたが、今回の資金調達に伴い、株式会社オリグレスに社名変更しました。テーマパークやレジャー施設などの集客に関する課題解決を強みとしています。

オリグレスの主な事業は、IPソリューション事業集客貢献事業定額パス事業の3つの事業。IPソリューション事業では、アニメやゲーム、VtuberなどのIPを活用して、IPとエンタメ施設や飲食店等とのコラボレーションを実現します。集客貢献事業では、SNS運用や謎解きなどの有料コンテンツ導入を通じ、ファンマーケティング支援を行います。定額パス事業では、定額課金によって、全国のレジャー施設で使えるコインを入手できるWebサービス、「レジャパス」を提供。入場枠の空き枠を有料会員向けに配布することで、新規顧客獲得を見込めます。

ホスピス住宅「ビーズの家」を運営するbeads、10億円の資金調達を実施

事業内容: ホスピス住宅事業、訪問看護ステーションの運営

調達金額: 10億円

引受先: Eight Roads Ventures Japan、農林中金キャピタル

今後の展望: ホスピス住宅の新規開設、採用・組織強化

beadsは、ホスピス住宅や訪問看護を提供する、福祉系のスタートアップです。「ホスピス住宅」とは、難病を抱える方を対象に、終末期医療を自宅に近い環境で提供する施設。beadsのホスピス住宅である「ビーズの家」は、九州初のホスピス住宅であり、24時間対応の訪問看護ステーション・訪問介護ステーションを併設することで、地域の医療機関と連携を図っています。

ビーズの家は、末期がんや神経難病など、自宅ではケアが難しい疾患にも対応しながら、24時間の面会可能、家族宿泊室を完備、お酒やたばこなどの嗜好品も楽しめるなど、一般的な医療機関よりも日々の暮らしを楽しめるような工夫がなされています。ICTを積極的に導入していることも特徴で、より正確なケアや体調の観察を可能にしています。beadsは「一人ひとりが自分らしい人生の最終段階を選択できる未来をつくる」というビジョンを掲げており、福岡から高齢化社会の課題解決を目指しています。

パブリッククラウドのセキュリティプラットフォームを提供するCloudbase、5億円の資金調達を実施

事業内容: クラウドセキュリティプラットフォーム「Cloudbase」の開発

調達金額: 5億円

引受先: 日本政策金融公庫

今後の展望: 技術・組織開発、人材採用

Cloudbaseは、パブリッククラウドのためのセキュリティプラットフォーム、「Cloudbase」を提供するテック系スタートアップです。パブリッククラウドのセキュリティプラットフォームとは、AWS・Microsoft Azureなどのパブリッククラウドを利用する際に発生し得るセキュリティリスクを管理・監視し、安全な運用を支援するための統合的なサービスを指します。「Cloudbase」は、クラウド上の構成ミスや脆弱性を網羅的に検出することで、自社内にクラウドセキュリティの専門家がいなくても、有効な対策を取ることを可能にします。

「Cloudbase」はリスク検知機能だけでなく、複雑なクラウドの構成をシンプルに可視化する独自の機能や、リスクへの対処方法を記載した豊富なドキュメントや権限管理機能を有しており、総合的にクラウドの利用をサポートしています。また、導入後も丁寧なサポートがあることが特徴で、クラウド環境の接続や運営ルール策定などのサポートを、Cloudbaseのチームによって行います。国内の大手企業にも利用を広めており、スズキやパナソニック、セコムなどの企業への導入実績があります。

精神疾患DTxの開発を行うemol、3.15億円の資金調達を実施

事業内容: メンタルヘルス関連サービス開発

調達金額: 3.15億円

引受先: グロービス・キャピタル・パートナーズ、マツキヨココカラ&カンパニー、メドレー、みずほキャピタル、Kips

今後の展望: アプリの臨床研究の推進、人材採用の強化

emolは、メンタルヘルスケアを専門とするスタートアップで、デジタルの活用によって、自宅にいながら精神療法を受けられるサービスを開発しています。2022年春から、精神疾患治療を目的とした精神療法を実践するアプリの日本国内薬事承認を目指して研究を進めてきました。アプリでは、エビデンスのある治療法である認知行動療法(CBT)を提供しており、強迫症向け、社交不安症向け、ADHD向けの治療プログラムを開発しています。

emolは、精神療法用アプリの開発にとどまらず、最終的には治療フロー全体を包括的なプログラムとして提供する構想を持っています。この構想は、「Patient Care Program」という名前で、受診前の啓発段階から治療終了後の再発予防までを一気通貫で支援するものです。emolは高いハードルが伴う精神疾患の治療を、デジタル化によってより身近にしていくことで、メンタルヘルスケアを”当たり前”にし、健康な社会を創ることを目指しています。

安全で安価なハイブリッドロケットエンジンシステムを開発するMJOLNIR SPACEWORKS、3.1億円の資金調達を実施

事業内容: 航空機、宇宙機器、飛翔体及び関連機器の設計、製造、売買に関する事業

調達金額: 3.1億円

引受先: Incubate Fund、UntroD Capital Japan、三菱UFJキャピタル

今後の展望: 開発・販売を推進

MJOLNIR SPACEWORKS(以下「MSW」)は、ハイブリッドロケットエンジンや宇宙用コンポーネントの大量生産を目指す、宇宙産業スタートアップです。ハイブリッドロケットエンジンとは、固体プラスチック燃料と液体酸化剤を用いて燃焼させる方式のエンジンを用いるロケット。固体プラスチックは安全性が極めて高く、また従来の液体エンジンと比べてシンプルな構造であるため、コストを大幅に抑えることができます。

MSWはまた、「無溶接タンク」という技術を持っています。これは、溶接を用いずに製造されるロケット・宇宙機用タンクであり、短納期かつ低コストでの納品が可能です。MSWは、これらの低コストで生産できるコンポーネントの大量生産によって、自動車のようにロケットを大量生産することを可能にし、最終的には「誰もが宇宙に行ける時代」を実現することを目指しています。

まとめ

新年から、多様な企業が資金調達に成功しています。エンターテイメントでは、総合的なサービス提供を行うオリグレスが10億円の資金調達に成功。これからの社会課題に取り組む福祉企業であるbeadsも、注目を集めています。

Cloudbaseやemolといった、デジタル技術を活かした事業は引き続き資金を集めています。また、大きな将来性を持つ宇宙産業も、資金調達に成功しています。

「Plus Web3」では、今後も資金調達例を紹介してまいります。

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