2026年10月20日、日本の株式会社日立製作所はプロセス製造業向けに、設備の予兆検知とAIエージェントによる故障診断を連携させるフィジカルAIソリューションの開発を発表した。突発停止を防ぐ狙いがある。
予兆検知とAI診断を高度連携 異常察知から対応提示まで自動で完結
株式会社日立製作所は、プロセス製造業の設備保全に向けたフィジカルAIソリューションを開発した。本ソリューションは、データのわずかな変化から設備の故障リスクを捉える予兆検知機能と、AIエージェントによる故障診断機能をリアルタイムで連携させるものである。プラントにおける異常の察知から、具体的な故障要因のロジカルな特定、最適な処置方法の提示に至る一連のプロセスをシームレスにつなぎ、設備の突発停止を未然に防ぐ仕組みを構築した。
システムの具体的な構造として、株式会社日立ハイテクソリューションズのプロセス挙動解析システム「BD-CUBE」がプロセスデータ(温度、圧力、流量など)から捉えた「いつもと違う状態」のアラートをトリガーとし、日立の「現場サポートAIナビ」へ自動で連携する。受け取ったAIエージェントは、タグ情報と配管計装図(※)や過去の保全記録を自動で組み合わせ、原因候補と対応案を迅速に提示する。
本開発は、同社コネクティブインダストリーズ(CI)セクター インダストリアルソリューションビジネスユニットが注力する次世代ソリューション群「HMAX Industry」のラインアップであり、フィジカルAIのリーディングカンパニーとして顧客のライフタイムバリュー最大化を目指す取り組みである。
※配管計装図:プロセスの配管や計測、制御機器の関係を示した設計図面。P&ID(Piping and Instrumentation Diagram)とも呼ばれる。
業務負荷の削減と属人化解消へ データ基盤の整備と運用手法が鍵
今回のソリューション開発は、深刻な人手不足に悩む製造業界に大きなメリットをもたらすと期待される。従来、アラート発生後の原因特定や対策案の策定は熟練技術者の経験や勘に依存していた。
この診断プロセスがAIによって自動化・標準化されることで、初動の遅れによるリスクを未然に防ぎ、経験の浅いスタッフでも迅速な対応が可能になると考えられる。対応時間の短縮は現場の業務負荷を軽減する効果が見込まれ、限られたリソースでも高い品質の設備保全体制を持続的に維持できる利点があると言える。
一方で、課題や考慮すべき側面も存在する。AIエージェントが的確な診断を行うためには、事前に過去の保全記録や設計図面などのデータが高度に整理・デジタル化されていることが前提となる。データ基盤の準備が十分でない現場では、システム導入に伴う初期コストや準備期間が増大するリスクが懸念される。
将来的には、熟練者のノウハウとAIを融合させる本手法が産業界全体の標準となり、プラントの安定稼働と保全DXを推進する強力な軸になると推測される。技術継承の課題を解消し、持続可能な産業インフラを支える技術として、今後のグローバル展開にも強い期待が寄せられる。
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