2026年10月14日、NTTアドバンステクノロジは自治体の窓口業務を支援する生成AIソリューション「RelAi 窓口アシスタント」を翌15日より提供開始すると発表した。東京都葛飾区での実証実験を踏まえた国内事例となる。
葛飾区の実証成果を結実 リアルタイム音声認識と根拠表示で現場を補助
全国の自治体では、制度改正による手続きの多様化やベテラン職員の退職、人員不足に伴い、窓口業務の負荷増大や対応品質のばらつきが深刻な課題となっている。NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)がリリースした本ソリューションは、こうした現場の課題解決に向け、東京都葛飾区と共同で実施した窓口AI実証実験の知見を基に商品化されたシステムである。
同サービスは、住民と職員の会話をリアルタイムで音声認識・文字起こしし、要約する機能を備える。製品化にあたっては、専用マイクを用いた発話者分離や個人情報の自動マスキング、多言語翻訳、応対記録の作成支援、カスハラ(※1)アラートなどの利便性を高める機能も拡充された。
最大の強みは、庁内の業務マニュアルやFAQ、条例といったナレッジを参照し、根拠文書の該当箇所をハイライト提示しながら回答を生成する点にある。さらに顧客ごとに専用環境を構築し、データがAIの学習に流用されない仕組みやLGWAN(※2)接続に対応させることで、高いセキュリティ水準を担保している。導入選定からデータの整備、運用後のサポートまで同社の専門家が一貫して手掛ける体制も整えられている。
※1 カスタマーハラスメント:顧客や住民からの悪質・過剰なクレームや迷惑行為。職員の安全確保や心理的負担の軽減が課題とされる。
※2 LGWAN:総合行政ネットワーク。地方公共団体を相互に接続する、高度なセキュリティが維持された閉域網。
業務負担の軽減と品質均一化への期待 運用の定着とAI活用高度化が課題に
本サービスの導入は、自治体現場に多大なメリットをもたらすと期待されている。生成AIが関連文書を添えて迅速に回答案を提示するため、職員が分厚いマニュアルを探し回る労力の大幅な削減につながるとみられる。経験や知識の浅い若手職員であっても高品質な案内が可能となり、対応の標準化や窓口での待ち時間短縮に寄与する可能性がある。
また、応対記録の作成支援機能によって記録業務の効率化が進み、そのデータが新たなFAQとして蓄積される好循環が生まれることも期待される。専用マイクによる発話者分離や個人情報マスキング、カスハラアラートなどのきめ細やかな配慮は、過度な負担に直面する職員の業務環境を安全かつ快適に守る防護柵としても機能していくと見込まれる。
一方で、懸念されるリスクや課題も存在する。生成AIの提示結果に依存しすぎることによる確認漏れや、最終的な判断責任のうやむや化を防ぐため、職員自身のチェック体制や適切な運用ルールの定着が必須となると指摘されている。また、回答精度を高く保ち続けるためには、庁内ナレッジの適切な整備や定期的なチューニングを怠らない姿勢が求められると言える。
今後は、行政DXを推進する各自治体において導入の動きが拡大する可能性が高い。高度なセキュリティと専門家のサポート体制を背景に、自治体窓口での生成AI活用が高度化・標準化していく未来が予見される。
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