2026年7月2日、株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)は、2026年5月から開催されている販売パートナー向けイベント「OBC Partner Conference 2026」において、奉行クラウドのセキュリティとAI戦略を発表した。ランサムウェア対策を強化する設計とAIエージェント構想を打ち出し、中堅・中小企業の事業継続と業務変革を支援する方針を示している。
権限分離設計とAIで基幹業務を強化
OBCは、全国13会場で開催している販売パートナー向け戦略発表会で、2026年度の重点施策として「セキュリティ」と「AI」を掲げた。中でも注目されるのが、日本マイクロソフトとの協働により実現した「権限分離設計」である。
奉行クラウドは、Microsoft AzureのPaaSを基盤とするSaaSとして構築されており、アプリケーションの権限ではOSやデータベース基盤へアクセスできない構造を採用している。万が一アプリケーションが侵害された場合でも、システム全体への被害拡大を防ぐ設計となっており、近年深刻化するランサムウェア攻撃への耐性向上が期待される。
さらにOBCは、バックオフィス業務におけるAI活用を本格化させる方針も明らかにした。従来のチャット型AIではなく、業務シナリオを前提にした「奉行AIアシスタント」の提供を進めるほか、自律的に業務を代行する「奉行AIエージェント」の開発構想を初公開している。
セキュリティ評価制度への対応が競争力に
今回の発表では、経済産業省が推進するサプライチェーン・セキュリティ(SCS)評価制度(※)への対応も重要な柱となった。OBCは、奉行クラウドが同制度で求められるシステム要件の多くを満たすよう設計されていると説明している。
中堅・中小企業では、人材不足やサイバー攻撃の高度化を背景に、業務効率化と情報セキュリティを同時に実現する基幹システムへの需要が高まっている。AIによる自動化だけではなく、事業継続を前提とした堅牢な設計を備えることが、今後のシステム選定で重要な判断基準になるだろう。
一方で、AIエージェントの実運用には、誤判断や権限管理、監査体制の整備といった課題も残る。企業は利便性だけでなく、AIが安全に業務を実行できるガバナンスを構築する必要があるだろう。
OBCが掲げる「セキュリティ」と「AI」の両立は、国内バックオフィス市場全体の競争軸にも影響を与える可能性がある。
※サプライチェーン・セキュリティ(S CS)評価制度:企業間取引における情報セキュリティ対策を客観的に評価するため、経済産業省が推進する制度。取引先を含めたサプライチェーン全体の安全性向上を目的としている。