国内最大級!Web3領域に特化したピッチコンテスト「B Dash Crypto」:進出したスタートアップ9社をまとめて紹介してみた
5月24日(水)から26日(金)の3日間にかけて「B Dash Crypto」が開催されました。この記事では、web3領域でこれからの活躍が大きく期待できるスタートアップである判断され、ピッチコンテスト「Crypto Arena」に進出が決定したスタートアップ9社を簡潔に解説します。
「B Dash Crypto」とは
「B Dash Crypto」とは、インターネット業界の第一線で活躍する経営者や著名人が集結する日本最大規模の招待制カンファレンスである「B Dash Camp」内のプログラムの1つです。
5月26日から3日間開催された「B Dash Camp 2023 Spring in Sapporo」は大きく4つのコンテンツから成り立っています。
パネルディスカッション、1on1のトークセッションで構成される「Session」
カジュアルにネットワーキングできる環境を会場に整える「Networking」
メインコンテンツの1つであり、スタートアップの登竜門ともいえるピッチコンテスト「Pitch Arena」
そしてブロックチェーン・暗号資産などweb3領域に特化したプログラム「B Dash Crypto」
今回の B Dash Camp は1000名以上が参加した、スタートアップ業界最大級のイベントでした。本記事では、web3領域で新たなビジネスの機会を創出していくことを目的とする「B Dash Crypto」に注目し、「B Dash Crypto」のコーナーとして開催されるWeb3の事業に特化したピッチコンテスト「Crypto Arena」に進出が決定したスタートアップ9社をまとめます。
「Crypto Arena」に進出が決定したスタートアップ9社
今回「Crypto Arena」に出場したのは、以下の9つのブロックチェーン/暗号資産関連プロジェクトです・
クロスチェーンデータの取得に特化したインフラサービス「Futaba」を提供する「AndLaw(アンドロウ)」
NFT詐欺防止ツールを運営するWeb3セキュリティ会社「KEKKAI(ケッカイ)」
誰でも簡単にトレーダーをフォローするだけで同じ取引を可能とするDeFiサービスを提供する「LOCKON(ロックオン)」
安全で確実なインターネット上の個人認証を実現する「Qwi(キューイ)」
SNS感覚のNFT販売アプリ「SNAFTY(スナフティー)」
あらゆる権利やサービスをトークン化する未来「synschismo(シンシズモ)」
次世代型ブロックチェーンゲーミングハブ「SAKABA」を提供する「Tempura technologies(テンプラテクノロジーズ)」
デジタル証明書の発行・管理・認証ワンストップサービスを提供する「Turing Certs(チューリングサーツ)」
円滑な価値流通を実現する流動性ネットワークを目指すDeFiプロジェクト「Umi Protocol(ウミプロトコル)」
それぞれのチームのピッチを、「コインチェック」の大塚雄介氏、「Fracton Ventures/Next Web Capital」の亀井聡彦氏、「Meteorite Labs/Incuba Alpha」のMelody Taira氏、「HashHub」の平野淳也氏、「HYPERITHM」のLloyd Lee氏、そして「B Dash Ventures」の西田隆一氏ら6名の審査員が審査しました。
それでは「Crypto Arena」に出場した今大注目のWeb3業界スタートアップ9社をみていきます!
「AndLaw」
現在ブロックチェーンには他のチェーンにアクセスできない、チェーンの通信インフラがまだ十分に整備されていないという課題があります。他のチェーンからデータを取得する場合Web APIを利用しますが、Web APIはブロックチェーンに応じた最適なソリューションではありません。常に存在するDdos攻撃のリスクや、どのようにデータ取得をしたか外部への証明の問題など二重のリスクがあります。
AndLaw Inc.はブロックチェーンの相互運用性を解決する企業です。彼らのプロダクトである「Futaba」は、クロスチェーンデータ取得に特化したインフラストラクチャサービスです。開発者は容易にノードをデプロイし、チェーンデータを安全に送信することができます。特徴として、取引や通信の時間を短縮や、ガスコストの削減、あらゆるチェーンからシームレスな情報検索が可能などが挙げられます。
「KEKKAI」
KEKKAIは「全ての人が安心できるWeb3を」というビジョンを掲げ、スキャムサイトを利用したフィッシング詐欺や、
その他悪意的なユーザーによる詐欺被害を減らし、ユーザーが安心して取引できる市場を作るために活動しています。
こちらの記事で詳しく解説しているのでぜひ読んでみてください!
「LOCKON」
「LOCKON」は、暗号資産の資産運用に特化したシステムで、Web3のオンチェーンデータ分析と、伝統的な金融のインデックス運用という2つの要素を組み合わせた独特なアプローチをとっています。
まず、「LOCKON」はオンチェーンデータ分析という技術を用いています。オンチェーンとは、ブロックチェーン上の情報を指します。ブロックチェーン上には、ユーザーのアドレスや取引履歴などの情報が記録されていて、それらの情報を分析することで、ブロックチェーンの状況やトレンドを把握することが可能となります。
「LOCKON」は、6億以上のユニークなアドレスから、継続的に利益を上げているウォレットアドレスを特定し、ウォレットアドレスをインデックス化します。インデックス化とは、それぞれのアドレスのパフォーマンスを基に、一つの指標やリストを作り出すことを指します。伝統的な金融におけるインデックス運用の思想を、暗号資産の資産運用に活かしているのが特徴です。
ユーザーは「LOCKON」がオファリングするインデックストークンを購入することで、暗号資産の資産運用を行うことができます。つまり、これらのインデックストークンを保有することで、特定のウォレットアドレス群のパフォーマンスに連動した資産運用が可能となります。
「Qwi」
「Qwi」は、アイデンティティ認証に焦点を当てたサービスで、消費者と企業の間のアイデンティティ管理を大幅に改善します。その核となる技術は、ユーザー認証を簡単かつ迅速に行うことが可能な独自のアイデンティティ認証システムです。
アプリ内で「トラッキングを許可しますか?」というメッセージを見るのは、近年一般的になりました。しかし、2021年の調査(米調査会社Flurryによる)では、ユーザーのわずか12%しかこの追跡を許可していないという結果が出ています。これはAppleとAndroidのデバイスにおいて広告の効果が約40%低下することを意味しました。これまでの我々の行動は、SNSなどのプラットフォームにより、趣味や嗜好が追跡され、結果的には「製品やサービスを購入するよう促される」形をとっていました。「Qwi」は、この問題に対処するため、アイデンティティに関する観点から、消費者に失われていた所有感を取り戻すことを目指しています。
また現在サービスは、学生を対象にしていて、学生証がなくても学生を証明できるという点で数多くのサービスと連携しているのも特徴の1つです。
「SNAFTY」
「SNAFTY」はタレント専用のNFTカメラアプリです。スマートフォン端末に撮影データを保存せずにクラウド上で管理することで、撮影者も元データを持っていない、唯一無二のNFTを作成できます。
「synschismo」
シンシズモ株式会社はあらゆる権利やサービスをトークン化することで、ひとつでも多くの価値を多くの人々に分配するサービスを展開しています。代表取締役の赤川社長に直接インタビューをしたこちらの記事で、会社について解説をしています。ぜひご覧ください。
「Tempura technologies」
ブロックチェーン、トークン・NFTの技術をもとに事業展開、「世の中のモノの流動性を最大化する」というミッションを掲げる「Tempura technologies」。彼らが提供するプロダクトは「SAKABA」です。「SAKABA」は、ブロックチェーンゲームのプレイヤー向けクレデンシャルサービスです。
ブロックチェーンゲームは互いにつながっていないため、一つのゲームで得た成果や経験が他のゲームで役立たないという問題があります。
「SAKABA」はこれらをつなぐ橋のような役割を果たします。ユーザーは、「SAKABA」を通じて、異なるゲーム間で自分の経験や成果を共有し、利用することができます。たとえば、ゲームAで得たスキルやアイテムをゲームBでも利用できるといった具体的なメリットが生まれます。
また、SAKABAはユーザーのエンゲージメントと成果を示す「クレデンシャルデータ」を提供します。これは、まるでスキルバッジのようなもので、ユーザーがゲーム内でどのような貢献をしたのかを表すものです。これらのデータは、ゲームやギルド間で共有され、ユーザーが自身のスキルと経験を幅広い環境で活かすことができます。
さらに、SAKABAはブロックチェーンゲームの流動性を高めます。これは、ユーザーが様々なゲーム間で自由に移動し、各ゲームで自身の貢献に対して公正な評価を受けられるようにすることを意味します。
最後に、SAKABAはゲーム開発者にとっても利益をもたらします。開発者はSAKABAを利用して、自社のゲームのユーザーベースを拡大することができます。一方、ゲーマーは自身のスキルや成果を最大限に活かし、新たなゲームを見つけてプレイする機会を得ることができます。
結論として、SAKABAはブロックチェーンゲームの世界におけるユーザーとゲームのつながりを強化し、全体のエコシステムを発展させるためのプラットフォームです。
「Turing Certs」
https://certs.turingchain.tech/
「Turing Certs」は、ブロックチェーン技術を用いた電子証明書の発行、管理、認証が可能な1ストッププラットフォームです。WEB2からWEB3への移行を支える一方で、ユーザーフレンドリーでシンプルな操作性と、国際機関でも利用できる高いセキュリティを提供します。これにより、ユーザーは地理的な制約や物理的な手間を気にせず、自分の電子証明書を管理することができます。
「Turing Certs」は、行政手続きや教育機関での証明書申請など、既存の証明書発行・提出プロセスにおける課題を解決します。例えば、現地に足を運んで書類を提出したり、発行された書類を受け取ったり、提出先に郵送したりするといった時間とコストをかける手間が、インターネット接続さえあれば必要なくなります。
さらに、ブロックチェーン技術により証明書のデータは安全に保管され、改ざんのリスクを軽減します。そして、必要な時には証明書を印刷することも可能なので、完全にデジタル化することに抵抗があるユーザーにとっても無理なく利用できます。
「Turing Certs」は、デジタル時代の新しい証明書管理体験を提供し、人々の時間とコストを節約し、安全性を高めるソリューションです。
「Umi Protocol」
このプロジェクトの目標は、流動性ネットワークを通じて価値の流通を円滑に行うことです。つまり「Umi Protocol」は、資産や通貨の取引をより効率的で安全に行うことを目指しています。
このプロジェクトは、「Aptos」と「Sui」というレイヤー1ブロックチェーン上にDEX(分散型取引所)アグリゲーターを構築しています。DEXアグリゲーターとは、複数の分散型取引所の流動性を統合することで、トレーダーが最高の取引レートを得られるようにするものです。「Umi Protocol」は、AMM(自動市場メーカー)、オーダーブック(注文簿)、そして流動性プロトコルを一つにまとめ、トレーダーに最高の為替レートを提供しています。
さらに、「Umi Protocol」はリバランスメカニズムを備えた通貨バスケットプールを導入しています。通貨バスケットプールとは、複数の通貨を組み合わせた投資ポートフォリオのことで、その価値は含まれる各通貨の価値によって決まります。「Umi Protocol」がこのようなプールを用いることで、エコシステム全体に対して深い流動性を提供することが可能になります。「Umi Protocol」はトレーダーや投資家が取引や投資を行いやすくするための仕組みが整えています。
ピッチコンテストの結果
今回優勝に輝いたのは「Umi Protocol」。準優勝は「LOCKON」でした。どちらもDeFiに関連するものとなりました。
この結果によって、両スタートアップは日本での存在感をますます増していくことが予想されるので要チェックですね!
まとめ
9つのスタートアップを一気に紹介してきました!どのスタートアップも興味深く、まだまだ広がっていくWeb3の可能性にワクワクが止まりません。
そしてなんと!既に次回のB Dash Campの開催が決定しています。11月8日・9日・10日に福岡で開催です!
日本最大級かつweb2とweb3のキーパーソンが集まるB Dash Camp。次回のも目が離せません。
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参考文献
- https://camp.bdashventures.com/sapporo/
- https://camp.bdashventures.com/sapporo-crypto/
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000092708.html
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000108709.html
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000110205.html